新幹線かもめ
◆種別:新幹線
◆区間:武雄温泉・新大村~長崎
9月23日に西九州新幹線・武雄温泉~長崎間が開業しました。前日まで博多~長崎間で運転されていた特急「かもめ」は廃止され、新たに西九州新幹線の愛称となりました。武雄温泉の対面ホームでリレー特急と接続する方式で博多・佐賀方面と結ばれています。
武雄温泉~長崎間は最速23分で結ばれ、博多~武雄温泉間はリレー特急利用で約1時間で、博多~長崎間トータルでは在来線で結んでいた頃より30分短縮しています。両者を比較すると以下のような感じになります。特急料金は普通車指定席のものです。
博多~長崎間 | ||
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在来線特急時代 | 西九州新幹線経由 | |
乗り換え回数 | なし | 1回 |
最速所要時間 | 1時間50分 | 1時間20分 |
正規運賃・料金 | 5,590円 | 6,050円 |
ネットきっぷ | 3,150円 | 4,200円 |
ネット早特3 | 2,550円 | 3,600円 |
ネット早特7 | 2,340円 | 3,200円 (来年3月末まで) |
新幹線経由のネット早特7(おためし!かもめネット早特7)は来年3月末までの期間限定ですので比較対象外とすると、実質的な最安値料金は1,260円上がっています。30分の時間短縮にはなっていますが、乗り換えの手間と値上げがマイナス要因です。
博多まで繋がらなければ西九州新幹線の真価は発揮されないので、現時点で要不要を論ずるのは早計かもしれません。ただ、現時点では先々の見通しが立たない中で見切り発車して開業させたがゆえに乗り換えが増えただけで、乗り換えなしでソコソコ速く手ごろな価格で行き来できる手段がなくなってしまった残念な状態だと思います。
武雄温泉で乗り換えは発生しますが、行先表示はあくまで「かもめ 博多」という表示です。「リレーつばめ」の頃から使われているJR九州ではおなじみの表示ですが、実際に直通しないのにあたかも直通するかのような表示は偽装表示以外の何物でもないとずっと思っています。
ちなみに、武雄温泉到着後に誤乗を防ぐため、一瞬だけ「かもめ 武雄温泉」という正しい表示が見られます。すぐに切り替えられてしまうので1分も見られませんが。
西九州新幹線の車両はN700Sです。6両編成でグリーン車はありません。私は800系をこちらに転用して、九州新幹線を8両編成のN700に統一するかと思ったんですが、西九州にN700Sを投入してきました。
リレー特急に合わせて長崎寄りの1~3号車が2-2列の指定席で、武雄温泉寄りの4~6号車が3-2列の自由席です。指定席の座席は800系そっくりです。今どきの新幹線らしくコンセントは全席標準装備です。
なお、指定席・自由席ともシートカバーがありません。取り付けるためのマジックテープはあるので、取り付けるつもりはあったんでしょうが、コスト削減のためなのか付いていません。付いてなくても意外と違和感はないですが、新幹線で省いた例は初めて見ました。
開業初日の指定券は発売開始後○秒で売り切れたなんて報じられ、朝早くから窓口に並んで一喜一憂している光景がよく出ますが、ようやるなぁ...と思って見ています。絶対に一番列車という拘りがなければ発売後に案外空席が出ますし、こうして乗車当日にネット予約で取れたりもします。開業初日でも夜の列車であれば「ネット早特3」も取れました。
この日だけで「かもめ13号」を皮切りに新大村→武雄温泉→嬉野温泉、新大村→長崎→武雄温泉と5回も乗ったので、西九州新幹線はしばらくお腹いっぱいです。
西九州新幹線の駅のエスカレーターは全て武雄温泉寄りの自由席号車に便利なように取り付けられています。指定席を利用した方がエスカレーターまで長く歩かされるおかしな状態になっています。
おそらくこれは将来の山陽新幹線との直通運転を見越し、山陽新幹線の編成に合わせた設計にしているためだと思われます。ただ、新鳥栖~武雄温泉間の着工の目途すら立っておらず、山陽新幹線と直通運転できるようになるまで少なくとも10年はかかるでしょうから、現時点でそこに合わせる必要があったのかと思うところはあります。
個人的にはダイヤ改正前までに少しずつ在来線特急の編成を反転させグリーン車・指定席号車を今と逆にし、西九州新幹線の指定席も4~6号車とした方が良かったのではないかと思います。
西九州新幹線は整備新幹線の類に漏れずトンネル区間が長く、景色が楽しめる区間は多くありません。景色の見所と言えば上り列車のD席側から新大村を発車してしばらく大村湾が見えるのと、下り列車のA席の長崎到着直前に山腹に建物がびっしり張り付く長崎らしい景色が見えるぐらいでしょうか。
西九州新幹線は長崎県の悲願となっていただけに、長崎県の沿線では観光の起爆剤にしようと大変に盛り上がっています。10月からは全国旅行支援に加え「佐賀・長崎デスティネーションキャンペーン(DC)」も始まりました。開業効果に全国旅行支援とDCが加わる年末まではお祭り騒ぎが続きそうですが、年明け以降の利用状況が試金石になるように感じます。
当初今年年末までの設定予定だった「おためし!かもめネット早特7」は開業から1ヶ月後の10月24日にして、来年3月末までの延長と佐賀発着の追加設定の発表がありました(佐賀発着と来年1月以降の博多発着については「おためし!私たちも、かもめ。早特7」として発売)。発売終了予定の2ヶ月以上前から延長が発表されるのは異例です。JR九州としても今のうちから危機感があるのかもしれません。
【補足:2023/4/16】
昨年12月に入って西九州新幹線N700Sに在来線特急と同じビニール製のシートカバーが取り付けられています。何かしら事情があって開業に間に合わなかったのか、不評だったので急遽取り付けたのかは謎ですが。