続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

串木野駅無人化

 今年4月より鹿児島線・串木野駅が無人化されました。鹿児島県いちき串木野市の中心駅で、無人化前はJR九州サービスサポートによる業務委託駅でした。

串木野駅無人化の掲示 2022/2/23

 この掲示では串木野駅は3月12日以降に終日無人になると記載されていますが、実際はPOS窓口の営業はダイヤ改正前日の3月11日で終了したものの、3月いっぱいは業務委託の係員がいたようで、4月1日より終日無人化となりました。

 昨年末に無人化の方針が明るみに出た際には、いちき串木野市が2つ隣の市来駅と同様に簡易委託化できないか検討するという南日本新聞の報道がありましたが、結局は無人化されました。ちなみに「広報いちき串木野(令和4年3月22日号)」によると、市来駅も簡易委託を解除し串木野駅と同時に無人化されたようです。

串木野駅のプラットホーム 2022/2/23

 串木野駅のプラットホームです。かつては本州に直通する寝台特急「はやぶさ」「なは」や、博多行きの特急「つばめ」が発着していたので長いホームがありますが、今はせいぜい4両編成の普通列車なので、完全に持て余しています。

串木野駅駅舎と窓口周り 2022/2/23

 駅舎は2007(平成19)年に建て替えられた比較的新しいものです。2004(平成16)年に九州新幹線・新八代~鹿児島中央間開業によって博多まで直通していた特急「つばめ」が全廃され、「川内エクスプレス」以外の特急列車の発着がなくなり、ローカル輸送だけの駅になったのでそれなりの駅舎に建て替えられています。窓口と券売機1台と小さな待合室がある本当に最低限の設備です。

ekisya.net

 ちなみに建て替え前はこんな立派な駅だったそうです↑


 実は串木野駅では無人化1年前の昨年3月にも大幅な合理化が実施されています。

  設置端末 営業時間 週あたりの
営業時間
~2021年3月12日 マルス端末 平日 6:35~19:05 77.5時間
土休日 7:00~17:00
2021年3月13日~
 2022年3月11日
POS端末 月・水・金・日 13:00~18:30 34時間
火・木・土 7:00~11:00

 それまで毎日朝から晩まで開いていた窓口が、昨年3月に週3日は午前のみ、週4日は午後のみの営業となり、週あたりの営業時間は半分以下に減りました。しかも、そのタイミングでマルス端末から機能に制約のあるE-POS端末に置き換えられ、ネット予約の受け取りやSUGOCAの取り扱いができなくなりました。

 窓口が半日営業になって係員は半日で仕事を終えて帰るのではなく、別の駅と掛け持ちしています。串木野駅の場合は上伊集院駅と掛け持ちでした。上伊集院駅の営業時間は月・水・金・日曜が7:00~11:00、火・木・土曜が13:00~18:30という具合に串木野駅ときれいに逆の設定でした。

 掛け持ちにして係員に移動の負担を強いることで人件費を半減させることに成功しています。今年3月のダイヤ改正前まではこういう営業形態が九州各地で見られました。ダイヤ改正のタイミングで大量の窓口閉鎖や無人化を実施したので、掛け持ちはかなり減ったように見えます。

 私が訪ねたのは水曜日で、午前11時に上伊集院駅で業務を終えた係員が列車で串木野駅へ移動し、13時から串木野駅で業務を開始するという形態でした。私も上伊集院駅できっぷを買ってから串木野駅に移動したので、同じ人からきっぷを買う羽目になりちょっと気まずかったです。

 窓口の若い係員は「(無人化は)会社が決めてしまったことですから仕方ないですよね...」と諦めのような言葉を発しつつも淡々ときっぷを発券してくれました。同じ宮仕えの身なのでその境地はよく分かります。

 私自身は南日本新聞の報道が頭の片隅にあったので、JRの要員が撤収しても簡易委託化される可能性が高いと思っていました。市来駅も含め、いちき串木野市の中でどういう議論があったかは承知していませんが、結局市の玄関口の駅を無人化してしまったのは驚きでした。

 手持ちのコレクションを探してみたところ、平成15年の串木野発の「つばめ」の特急券が出てきました。特急回数券と併用したっぽい指のみ券ですがちゃんと串木野駅発行のものです。この19年後には無人化されてしまうとは夢にも思わなかったでしょうね。