続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

荒屋新町駅無人化

 3月のダイヤ改正のタイミングで花輪線・荒屋新町駅が無人化されました。荒屋新町駅は岩手県八幡平市にあります。八幡平市は2005(平成17)年に花輪線や東北自動車道に沿うように2町1村が合併して発足した市で、岩手県側の花輪線の駅はすべて八幡平市にあります。荒屋新町駅付近は八幡平市の北西部で秋田・青森県境にある旧安代町の中心駅でした。

荒屋新町駅 2022/12/17

 かつては荒屋新町から二戸まで結ぶJRバス東北の路線バス(二戸本線)が発着していましたが、2008(平成20)年に二戸~浄法寺間に短縮し、荒屋新町まで来なくなりました。同区間を結んでいた同社の高速バス「すーぱー湯〜遊」号も2018(平成30)年に廃止となりJRバス東北は完全撤退しています。代わりに(?)現在は浄法寺まで八幡平市と二戸市のコミュニティバスが運行されています。

荒屋新町駅構内の機関庫と転車台 2022/12/17

 荒屋新町には盛岡機関区荒屋新町支区というSLが配置されていた機関区がありました。SL時代には岩手松尾(現:松尾八幡平)~赤坂田間の急こう配を登るためにSL(8600形)が3重連で運転されており、その拠点ともなったところです。1971(昭和46)年に無煙化(=SLの運行終了)とともに廃止され、構内に扇状機関庫と転車台が残っています。扇状機関庫は現在も保守車両の留置用に使用されているそうです。

荒屋新町駅ホーム 2022/12/17

荒屋新町駅に入線する花輪線の列車 2022/12/17

 現在も荒屋新町発着となる盛岡方面への列車が設定されており、花輪線ではそれなりに重要な地位にある駅です。しかし、コロナ禍前2019年度の1日あたりの乗車人員はわずか46人で、ただの中間駅であればとっくの昔に無人化されたであろう数値です。

みちのく号(岩手県北バス):鹿角市内にて 2022/12/17 

 また、荒屋新町駅から徒歩20分ほどのところに「テレトラック安代」という場外馬券売り場があり、そこの敷地内に高速バスのバス停があります。そこには盛岡~大館間を結ぶ高速バス「みちのく号」が停車します。

     花輪線      みちのく号  
盛岡~安代 運転本数 下り7本・上り9本 11往復
所要時間 約1時間20分 約50分
運賃 1,430円 1,000円

 「みちのく号」は1日11往復運行され、盛岡駅~安代間を約50分で結びます。こちらで比較したとおり公共交通機関で盛岡に行く場合、花輪線より「みちのく号」の方が安くて速くて便利です。

荒屋新町駅みどりの窓口 2022/12/17

 無人化前まではみどりの窓口がある業務委託駅で営業時間は8:00~15:40でした。窓口の左側(オレンジ色の乗車駅証明書発行機のあたり)に券売機があった痕跡はありましたが、2019年9月に撤去済みできっぷの発売はみどりの窓口だけになっていました。

荒屋新町駅E1発行

 私が荒屋新町駅を訪ねたのは昨年12月のことでした。何度も通ったことはあったんですが、花輪線の本数が少ないので降りることまでは叶わないままでした。

 その日はまだ鹿角花輪〜大館間が8月の豪雨災害で不通だった上に、悪天候で夕方以降の列車の運休が決まっていました。なので駅に寄り付く人がほとんどおらず、閑散ぶりが際立っていました。窓口氏は私が待合室で列車を待っている間はストーブをつけてくれました。

 この当時は翌年3月には無人化されることなんて知るわけもなく、入場券と少々のきっぷを購入して元来た道を戻りました。知ってたらもっといろいろ買ったんですけどね。

花輪線・赤坂田駅 2021/6/28

 花輪線では無人化されたかつての有人駅を含め、特に岩手県側では固定資産税やメンテナンスコストの削減を目的とした簡素な駅舎への建て替えが進んでいます。荒屋新町駅には1927(昭和2)年の開業当初の立派な駅舎が残っていますが、無人化されてしまったのでちょっと先行きが心配な感はあります。