続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

ほっとゆだ

 北上線・ほっとゆだ駅は秋田県境に近い岩手県西和賀町にあります。もともとは陸中川尻という駅名でした。旧駅名のとおりこの辺りには川尻温泉という温泉があり、合併で西和賀町となる前の旧湯田町が町おこしを兼ねて温泉付きの駅舎を建設し、温泉施設「ほっとゆだ」を開業したのは1989(平成元)年のことでした。

 おそらくバブル期の頃に全国の市町村にバラ撒かれたふるさと創生の1億円を原資にしたと思われます。その後1991(平成3)年に駅名を温泉施設に合わせる形で現在の「ほっとゆだ」に改称しました。その変わった駅名と駅舎に温泉が併設されていることで有名になりました。

 「ほっとゆだ」という突飛な駅名には当時も賛否両論あったようですが、仮に陸中川尻のままだとしたら岩手の山奥の駅がここまで有名になることはなかったと思います。

www.imadegawa075.net

 1996(平成8)年3月から田沢湖線改軌工事の為に特急「たざわ」が1年運休した際に、代替として北上~秋田間を北上線経由で結んでいた特急「秋田リレー」のうち2往復がほっとゆだ駅に停車していたこともありました。

ほっとゆだ+ほっとゆだ駅 2023/3/12

 向かって左3分の2が温泉施設「ほっとゆだ」と物産館で、右3分の1がほっとゆだ駅です。駅に天然温泉を併設し町おこしと知名度の向上を図るとともに、駅舎部分の減築も実現してJRのコスト削減にも寄与しています。今ではさほど目新しくない発想ですが、これを30年以上も前に実現していたことに先見性を感じます。

ほっとゆだ駅みどりの窓口 2023/3/12

 ほっとゆだ駅は北上線の中間駅で唯一のみどりの窓口がある業務委託駅です。券売機は以前あったものの撤去され、窓口でのみきっぷの発売を行っています。営業時間は8時~15時(2023年3月現在)です。

ほっとゆだ駅入場券

 温泉に入る前に購入したマルスで発券したほっとゆだ駅の入場券です。様式的には何の特徴もないですが、「ゆ」の字が一筆書きになっていて形が特徴的です。

ほっとゆだ駅構内 2023/3/12

 温泉から上がってから駅構内をうろついてみました。2面3線の交換可能駅で、この写真の背後には保線や除雪の拠点となるJRの施設もあり、今でも北上線の駅ではそれなりに重要な地位にある駅です。

ほっとゆだ駅駅名標 2023/3/12

HOTではなくHOTTO

 ちなみに「ほっとゆだ」の英語表記は"HOT-YUDA"ではなく"HOTTO-YUDA"でした。私は温泉→熱いを連想してHOTだとばかり思っていたんですが、温泉に入ってホッとするのHOTTOだったようです。きっぷの券面にもそのように反映されています。

 コロナ禍前の2019年度のほっとゆだ駅の1日の乗車人員は111人で、2000年度の201人からほぼ半減しています。同じ北上線にあってほっとゆだ駅より乗車人員の多かった藤根駅が2018年3月で無人化され、さらにほっとゆだ駅と同様に赤字ローカル線の中間の拠点駅である花輪線・荒屋新町駅が今年3月で無人化されています。今すぐ無人化どうこうという情報はないですが、いつ無人化されてもおかしくないと思い16年ぶりに訪問した次第です。