続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

城端線・氷見線移管?

 城端線と氷見線があいの風とやま鉄道に移管される可能性が高まりました。

 城端線と氷見線の利便性向上を目指しLRT化の実現可否を検討するため、2020年6月から富山県の局長と沿線四市(高岡・砺波・南砺・氷見)の副市長とJR西日本金沢支社の副支社長が参加し「城端線・氷見線LRT化検討会」という検討会がおよそ半年に1回ペースで開催されていました。

www.pref.toyama.jp

 6回の検討会でLRT(架線あり・なし)、BRT、非電化のまま新型車両への置き換えの大きく4パターンで車両・電化費用、運転士に必要な免許、転換に伴う運休期間、冬季運行のリスク、導入後の維持費など多面的に検討した結果、LRT化は断念し非電化のまま新型車両に置き換えるという方針に決まりました。

城端線の列車:城端線・新高岡~二塚間 2018/12/1

 その検討会を発展的に解消して初回の「城端線・氷見線再構築検討会」が開催されたのは今年7月のことです。参加者も富山県知事・沿線四市の市長・JR西日本金沢支社長に格上げされました。席上で砺波市長から城端線と氷見線をあいの風とやま鉄道に移管し一体で運営してはどうか?という話が持ち上がり、他の参加者も概ね前向きな反応でした。一見唐突に見えますが、ちゃんとあいの風に根回しはしてあったんだと思います。

氷見線のハットリくん列車:高岡駅 2018/9/15

 先日2回目が当事者となるあいの風の社長を呼んで開催されました。その場で社長は移管によって旧北陸線と城端線・氷見線がダイヤ調整しやすくなるなどのメリットをあげ、赤字の補填や移管前の線路設備の修繕などを条件に将来的に移管することに理解を示したそうです。それを受けてJR西日本も持ち帰って何ができるか検討する旨を表明しました。

 まずJR西日本にとっては飛び地のあまり儲かっていない非電化のローカル線を経営分離できるので、願ったり叶ったりの展開だと思います。手切れ金代わりに移管前の線路設備の修繕やディーゼルカーの運転や整備を行う要員を出向させるぐらいは喜んで協力すると思います。

万葉線のドラえもんトラム:高岡駅前 2019/12/22

富山ライトレール(当時)のポートラム:富山駅北 2013/5/11

 富山県はかつて鉄道事業者が廃線にしようとした加越能鉄道(現:万葉線)やJR富山港線(富山ライトレール→現:富山地方鉄道)を地元出資の第三セクターに転換して再生させた成功体験があり、地域交通として必要であれば税金を投入して支えるという下地があるように思います。城端線・氷見線が県西部の地域交通として必要と判断し、利便性向上のため一度はLRT化まで検討したぐらいです。

 現状と同じく鉄道(ディーゼルカー)で運行すると決まったならば、既に富山県や高岡市が出資し鉄道を運行しているあいの風に移管して一体運営し効率化を図るということは違和感ない流れです。ちなみに今年10月に改正された地域公共交通活性化再生法の適用を今年度中に一番乗りで申請し、国から補助金を受けることも視野に入れているようです。

 その2回目の議事録がまだ公開されていないので、あいの風の社長がどういう条件を求めたかの詳細は分かりません。しかし、JR西日本が協力することに同意し、富山県と高岡市以外のあいの風の株主や県議会が反対しなければ案外すんなりまとまるのではないかと思っています。

 新型車両を投入して本数も増やして交通系ICカードの導入も視野に入れているようですので、移管によって利便性は向上すると思います。おそらく城端線・氷見線の単独区間の運賃は上がりますが、現在あいの風連絡となっている上のきっぷのような区間は運賃が2社から1社になるので上昇幅は抑えられると思います。

www.imadegawa075.net

 個人的にちょっと気になっているのは観光列車の「べるもんた」がどうなるかと、JRの各種フリーきっぷが使えなくなりそうなことでしょうか。運行する会社の枠組みを変えることと比べれば些末な話ではありますが。