青春18きっぷオプション券+
北海道新幹線開業に伴い、青函トンネルを在来線の旅客列車で渡る手段がなくなり、北海道新幹線一択になりました。在来線では蟹田~木古内間を利用する場合、自由席に限り特急料金不要という特例がありましたが、北海道新幹線の奥津軽いまべつ~木古内間でも同様の特例が設定されるのか注目されました。
結論としては特例は廃止され、奥津軽いまべつ~木古内間のみの利用でも乗車券(1,450円)に加え新幹線特急料金(1,490円~)も必要となりました。本州~北海道を鉄道で渡るには最低でも2,940円はかかるようになりました。
(道南いさりび鉄道キハ40系)
ただし、「青春18きっぷ」に対しては救済が設定されました。「青春18きっぷ」と併用する「北海道新幹線オプション券」を発売しました。これは北海道新幹線・奥津軽いまべつ~木古内間の乗車券+新幹線特定特急料金(2,940円)に江差線を第三セクターに転換した道南いさりび鉄道・木古内~五稜郭間の運賃960円がセットになって2,300円というものです。奥津軽いまべつ~五稜郭間のいずれかの方向に片道一回の利用で、道南いさりび鉄道内は途中下車できません。
このスキームで面白いなと思ったのは、北海道新幹線の運賃・特急料金とともに道南いさりび鉄道の運賃もセットになっていることです。それによって2,300円のうちのいくらかは道南いさりび鉄道に配分されることになり、間接的に救済にもなっています。
きっぷはこのような120mm券でした。JR各社のみの取扱いで、道南いさりび鉄道での取り扱いはありません。購入時に利用日の指定は必要なく、「青春18きっぷ」の期間中に一回利用できます。
券面には新幹線と道南いさりび鉄道のそれぞれで日付印を押す欄があります。私は函館駅から「青春18きっぷ」で入場したため、オプション券を呈示することはなく、道南いさりび鉄道の木古内駅は無人化されたので道南いさりび鉄道での押印はありませんでした。道南いさりび鉄道でもどこかで押印しないと悪用する輩が出てこないとも限りません(木古内駅の無人化はやりすぎ感があるんですが…)。
このオプション券を利用して青函間を渡れる時刻を調べてみました。
【青森→函館】
青森 津軽二股/奥津軽 木古内 函館
6:15 → 7:31/8:13 (はやて93号) 8:50/10:13 → 11:13
11:01 → 12:09/13:47(はやぶさ13号)14:24/15:18 → 16:22
13:06 → 14:18/17:01(はやぶさ21号)17:38/19:00 → 20:00
【函館→青森】
函館 木古内 奥津軽/津軽二股 青森
7:04 → 8:04/9:44 (はやぶさ16号)10:22/13:05 → 14:23
10:40 → 11:46/12:57(はやぶさ22号)13:35/15:08 → 16:54
13:29 → 14:33/14:57(はやぶさ26号)15:35/18:02 → 19:40
両方向とも、利用できるのは3往復だけで、青森→函館では4時間58分~6時間54分、函館→青森では6時間11分~7時間19分という結果になりました。かつて快速「海峡」が走っていた頃(昭和63年3月~平成14年12月)は1日8往復で3時間40分程度でした。高速交通網が整備されて便利になったものの、逆に急がない旅は不便になっているのが現状です。
私は一回使っただけですが、本数が少ない上に接続も悪いので「オプション券」の使い勝手は正直良くないです。どうしても鉄道を使いたければ止めはしませんが、そこまでこだわりがなければ、下線より下の部分も読んでみてください。
個人的にはこのオプション券を利用して青函間を移動するのは厳しいと思います。「行かない」という選択肢を排除すると、代案は以下の2つしかないかなと思っています。
①「北海道お先にネットきっぷ」・「トクだ値40」
JR北海道およびJR東日本がインターネット予約サイトで発売しているネット限定・列車限定・席数限定の割引きっぷです。いずれも新青森~新函館北斗間が4割引の4,350円で利用できます。オプション券より2,050円高いですが、北海道新幹線全列車で設定があり最速で61分です。
どちらを使うにもクレジットカードは必須で、事前に会員登録をしておく必要があります。どちらを使うかは好みの問題なので、下の対比表を参考にしてください。
北海道お先に ネットきっぷ |
えきねっと トクだ値40 |
|
---|---|---|
発売元 | JR北海道 | JR東日本 |
価格 | 4,350円 | |
発売期限 | 乗車14日前の23時まで | 乗車13日前の1:40まで |
発売前事前予約 | 不可 | 発売開始7日前5:30から |
座席位置指定 | 不可 | 可 |
乗り遅れ時 | 乗車券のみ有効で特急券は別途買い直し | |
受取箇所 | JR北海道管内のみ (JR東日本管内は不可) |
JR東日本管内および JR西日本の北陸10駅 北海道新幹線各駅と 函館・五稜郭 |
およそ2週間前までには列車を決めて予約しないといけないので、早い段階で予定が固まっていないと不向きです。繁忙期には希望する列車が取れないことがあります。また、指定列車に乗り遅れた際は特急券を別途買い直す必要があるため、割高になる恐れもあります。
②津軽海峡フェリー・青函フェリー
青森港~函館港を3時間40分~50分で両社合わせて1日16往復で結んでいます。深夜便も含め概ね2~3時間間隔で運航されています。こちらもどちらを使うかは好みの問題なので、下の対比表を参考にしてください。
津軽海峡フェリー | 青函フェリー | |
---|---|---|
運航本数 | 8往復(旧盆は1往復増発) | 8往復 |
所要時間 | 3時間40分 | 3時間50分~4時間 |
最安運賃 | 2,220円~3,190円 | 1,600円~2,000円 |
ネット予約 | あり | なし |
割引 | 学割(1割引) 往復割引(復路1割引) ネット割引(1割引) |
学割(1割引) 往復割引(復路1割引) WEBクーポン(1割引) |
等級 | 6クラス | 2クラス |
港への アクセス |
日中は青森・函館とも シャトルバスあり |
青森は市営バス 函館はなし(五稜郭駅徒歩30分) |
その他 | 港から駅・空港・観光地への 定額タクシーあり |
特になし |
ざっとHP等を見た感じでは、津軽海峡フェリーは選択肢やオプションが豊富で観光客向け、青函フェリーはいろいろ割り切っていてプロ向けの印象があります。青森のフェリーターミナルは両社近接していますが、函館のフェリーターミナルは全然違うところにあるので、注意が必要です。
フェリーのメリットは安さと直前で思い立ってもすぐに利用できることです。逆にデメリットは新幹線よりは足が遅いことと、悪天候の際の欠航リスクと市内とフェリーターミナルへの移動の不便さです。事前にフェリーターミナルへアクセス手段を押さえておくのは必須だと思います。