続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ。そろそろ15周年。

風っこそうや

風っこそうや

◆種別:快速

◆区間:稚内~音威子府(前半)、旭川~音威子府(後半) 

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風っこそうや2号の出区:稚内運転所 2019/7/28

 今年7月27日~9月8日の土日にJR東日本の「風っこ」が「風っこそうや」として宗谷本線を走りました。JR初期の頃は他社の車両が走ることがそれほど珍しいことではありませんでしたが、平成3(1991)年5月に起きた信楽高原鉄道の正面衝突事故を契機に一気に下火になりました。 

 JR北海道は平成30(2018)年7月に出された国土交通省からの監督命令で「インバウンド客を取り込む観光列車の充実」というのが経営改善に向けた取り組みの一つとして求められました。

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流氷物語の車両:釧路駅 2019/3/29

 しかし、JR北海道保有の観光列車は老朽化が進み、つい先日も「クリスタルエクスプレス」が老朽化を理由に引退したばかりです。SLはコスト面から「冬の湿原」だけになってしまい、持て余した1両は東武鉄道に貸与しています。冬場は機関車が足りなくなるため「流氷ノロッコ」は気動車化され定期列車を申し訳程度に改造した「流氷物語」となっています。

 要はお上から観光列車をやれと言われても、もう自社の力だけではどうにもならない状態だったのです。そこでJR東日本の「風っこ」を借りて走らせるというウルトラCが編み出されました。JR東日本にとっては稼ぎ時の夏に「風っこ」を貸し出すのは内心複雑だったとは思いますが、ここはJR北海道のために一肌脱いだのでしょう。

 「風っこ」はキハ40系列のキハ48系なので、大掛かりなハンドル訓練は必要なく、自社のキハ40系とも併結できるのもメリットでした。


 「風っこ」が宗谷本線を稚内~音威子府と旭川~音威子府と前半と後半の2回に分けて走ると聞いて、すぐに「前半一択だな」と思いました。「風っこ」でサロベツ原野や利尻富士といった北海道らしい景色を眺める方がわざわざ乗りに行く意義があると思ったからです。

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 職場の近くにJR駅や旅行会社がないため、1ヶ月前の発売開始には出遅れました。しかし、幸いなことにこの列車は「えきねっと」には対応していたので、細切れでも取れないか執念深く空席照会をし、出発までになんとか7月27・28日の指定券を確保できました。

 そして、7月27日当日...。日頃の行いがよほど悪かったのか、前日から私が泊まっていた幌延近辺で大雨が降って線路が冠水し、27日午前中の宗谷本線名寄以北は全面運休となり、「風っこ」初日の往復運休も早々に決まりました。苦労して取った指定券も見事に無駄になりましたが、気象要因はどうしようもありません。その日はトナカイ牧場のトナカイと戯れてからレンタカーを借りに稚内に行っただけで終わりました。 

 翌28日は晴れとはいかないまでも、列車の運行に支障をきたすような雨は降りませんでした。twitterのタイムラインで編成の画像は見ていたんですが、早くこの目で見たくて、5時起きして幌延の宿からレンタカーを走らせ、稚内運転所で出区する様子を見に行きました。

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 「風っこ」はJR北海道のキハ40に前後挟み込まれる形で編成が組まれていました。JR東日本管内のいろいろなところで乗り慣れた「風っこ」が、遠く北海道の最果ての稚内にいるのは何とも言えない不思議な感覚でした。 

 旭川寄りの先頭車はJR北海道苫小牧運転所のキハ40「道央花の恵み」号(左)です。苫小牧の車両が稚内を走るのも非常に珍しいと思います。直後に「風っこ」2両(中)を挟み込み、稚内寄りはJR北海道旭川運転所のキハ40「道北流氷の恵み」号(右)でした。前後にはそれぞれで異なるデザインのヘッドマークが付いていました。

 なお、キハ40系は「風っこ」の控車として連結され、座席の販売はありませんでした。天候によっては夏でも寒いですから、避難所の役割もあったと思います。

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「風っこ」から眺めるサロベツ原野 2019/7/28

 指定が豊富からしか取れなかったので(ク〇ブツーリズムの団体が稚内~豊富間をがっつり抜いていたため)、車窓から利尻富士を眺めることはできませんでしたが、雄大なサロベツ原野の景色は楽しむことができました。そんな景色を眺めながら「ホントに『風っこ』が北海道を走ってるんだなぁ...」と思いました。

 車内や沿線の様子は坂井くんのブログにきっちり記述されていますので、お任せしたいと思います。

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地元の人の見送りを受けて音威子府に向かう「風っこそうや2号」:南稚内~抜海 2019/7/28

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天塩中川駅での賑わい 2019/7/28

 実質初日ということもあり、沿線では多くの見送り・出迎えの人や作業の手を止めて手を振ってくれる人がいました。その中で宗谷本線を日常的に利用している人はほとんどいないと思いますが、ここに観光列車が走り外部から賑わいがもたらされることによって、地元の人にとって宗谷本線がある意義を考えるきっかけになったような気がしました。


 「風っこ」が来年ここを走ることがあるのかないのか現時点では何とも言えませんが、あるとしたらという前提で気づいたことを書きます。

①運転日の追加

 夏の北海道なんて放っておいても観光客が来るんですから、土日だけと言わず「ノロッコ」みたいに毎日走らせてもいいぐらいです。ただ、必然的にツーマン運転になりますから、人件費の問題はあるかもしれません。

②指定席料金の値上げ

 指定席料金が520円で「風っこ」が満席になったとしても64人なので、指定席料金分の増収はせいぜい片道3万円ちょっとです。JR東日本が一部列車で導入しているように観光列車の指定席料金は840円にしてみたらどうかと思います。もしくは急行列車化して「風っこ」は急行券+指定券、控車には急行券だけで乗れるようにするのもアリかもしれません。

③運転区間の分離

 稚内~音威子府間は通しで運行するにしても、稚内~幌延と幌延~音威子府間で別列車に仕立ててはどうかと思いました。海や利尻富士を見たい人は稚内~幌延に乗るでしょうし、サロベツ原野を見たい人は幌延~音威子府間に乗るでしょうし、両方見たい人は2列車分の指定券を買って両方乗るでしょう。その分増収になります。

④自社企画のパックツアーの強化

 時期的なものもあり、乗車券に「青春18きっぷ」を使っていた人がほとんどでした。これではせっかく観光列車を走らせても旨味が少ないので、普通乗車券+指定席料金の価格をベースにし食事や買い物の特典を付けたパックツアーを売り出してはどうかと思いました。これだと指定券だけ買って乗らない「ドロンとシート」も減らせると思います。ただ、全部パックツアー化されるのはちょっと嫌ですが。