今年6月からJR東海の5駅で、指定席券売機の機能拡充が行われました。5駅の内訳は既存の指定席券売機に対して改造を行った駅が3駅(名古屋・勝川・四日市)と新設した2駅(桑名・中津川)です。
機能拡充とは既にJR北海道で行われているような指定席券売機で100Km以内の近距離乗車券や回数券を発売することです。
この機能は3年以上前からJR北海道で導入されていましたが、なぜか追随する会社がありませんでした。指定席券売機が近距離券売機の機能を包含することができ、機械の台数を減らして維持費も削減できるので一気に広がるのではないかと思っていたんですが…。
関西線・桑名駅の指定席券売機の近距離券発売メニューです。左側のタブに注目です。上のリンク先のJR北海道にはない「往復券」「入場券」「他会社連絡きっぷ」というメニューがあります。
乗車券の丸ゴシックっぽいフォントはJR北海道のものと同じです。桑名駅には1台しか指定席券売機がないんですが、端末番号が2775となっています。ここで「クレジットカードできっぷを購入」のボタンを押すと、通常の指定席券売機の乗車券メニューが現れ、普通の85mmのマルス券が発券されます。
入場券です。JR北海道にはない機能です。水色の券紙の入場券はなんだか新鮮です。フォントは独特ですが、普通の近距離券売機のオレンジの入場券の様式とほぼ同じです。
次に連絡券です。桑名駅には以下の4つのパターンが設定されていました。
- 河原田接続伊勢鉄道連絡
- 河原田~津間伊勢鉄道通過連絡
- 高蔵寺接続愛知環状鉄道連絡
- 岡崎接続愛知環状鉄道連絡
名古屋駅も同じ4パターン設定がありましたが、中津川駅は4のパターンのみ設定がありませんでした。金山廻りで接続駅の岡崎駅までの距離が100Kmを超えるためだと思われます。
通過連絡券の様式は正直びっくりでした。栃原→紀勢線、宮川→参宮線、伊勢大井→名松線と見事に三方向に分かれています。〇小の位置の違いも面白いです。連絡券についてはクレジットカードでの購入はできません。通常メニューの経路検索機能で、1のパターンの一部駅と2のパターンについては購入できると思われます。
いちおう比較のために、通常の指定席券売機メニューでもきっぷを購入しました。発売箇所は「桑名MV1」というありがちな表記になり、券番も全然連動しません。やはり、同じ筐体の中にまったく別のシステムが共存しているのでしょう。
桑名駅は近距離券売機が2台並んでいたうちの1台を置き換えて指定席券売機を設置しています。指定席券売機の初期メニューは上で紹介した金額が表示されているもので、近距離券売機との差異を小さくし分かりやすくしています。
観察していたところ、カップルが右と左に分かれて目的地までのきっぷを買っていました。彼氏は発券された水色のきっぷを見て「オレちゃんとJRのきっぷ買ったよな!?」と戸惑っていました。普通の人にとってはJRのきっぷ=オレンジでしょうから、最初のうちは戸惑うかもしれません。
私が訪れた6月22日時点でこの機能が導入されていたのは、名古屋・桑名・中津川の3駅で、勝川・四日市は未導入でした。今後、他の駅や他社にもこの機能が広がっていくか注目です。