牟岐線・海部駅は徳島県海陽町にあります。牟岐線の終点かつ阿佐海岸鉄道との接続駅でもあります。
海部駅は四国初の高架駅です。1973(昭和48)年10月開業と比較的新しい駅であるため、現地に行けばなるほどなという感じですが、四国初の高架駅が県庁所在地の駅ではなく徳島の隅っこの終着駅であることは興味深いです。
ここにある珍しいものは構内踏切です。構内踏切だけでは全然珍しくないんですが、高架上の構内踏切はここが唯一でした。他にはえちぜん鉄道・新福井駅が新幹線高架を間借りしていた3年弱の間、高架上に構内踏切がありました。現在はなくなっています。手前がJR線で向こう側が阿佐海岸鉄道のホームです。
海部駅は現在無人駅です。以前は高架下に海陽町の観光案内所があり、きっぷの発売を行っていました。
そこでこのような常備軟券を発売していました。金額式の近距離券に加え、牟岐からの自由席特急券もありました。発売箇所は管理駅の阿南駅となっていますが、私が9年前に海部駅で購入していたものです。2013(平成25)年に簡易委託を取りやめ、ほどなく高架下の観光案内所も移転してなくなったようです。
以前の阿佐海岸鉄道の記事でも書きましたが、今年度中に阿佐海岸鉄道では気動車の運行をやめて代わりにDMVが走ります。それに伴って牟岐線・阿波海南~海部間は阿佐海岸鉄道に移管されるので、阿波海南駅にJR線用の折り返し設備を設置する必要があります。そのため、7月18日から牟岐~海部間はバス代行となり、その前日の7月17日で阿波海南~海部間における気動車の運行が終了しました。
海部駅発着の牟岐線の始発列車はキハ185系が充当されていました。海部駅到着後、徳島行きの特急「むろと2号」(牟岐までは普通列車)として折り返していました。
海部駅のすぐそばにある「町中トンネル」はコンクリートの躯体だけのかなり特徴的なトンネルです。もともとはれっきとしたトンネルでしたが、周辺の宅地開発によって山が削られ、このようにコンクリートの躯体だけ残りました。気動車はもう走らなくなりましたが、代わりに来春からDMVがここを走ります。
昨日のJR四国のプレスリリースで、来年8月末をもって阿波海南~海部間の鉄道事業廃止届を提出したことが発表されました。同時に阿佐海岸鉄道も同区間の鉄道事業許可の申請も行ったそうです。四国運輸局による関係者への意見聴取を経て、繰上げが認められれば繰り上げる予定だそうで、DMVの運行に向けて書類上の手続きも着実に進んでいるようです。