4年前の熊本地震で不通になっていた豊肥本線・肥後大津~阿蘇間が8月8日に復旧しました。今日でちょうど1ヶ月経ちます。
西日本新聞の記事を参考にざっと集計してみたところ、1990(平成2)年以降今年までの30年間で、豊肥本線が自然災害によって不通になっていたのは延べ7年7ヶ月に及びました。1年に換算するとおよそ3ヶ月間不通ということになります。
中でも今回の熊本地震での不通は最も長く4年4ヶ月でした。それだけ自然災害の影響を受けやすいところを走っていると同時に、熊本地震の被害の大きさを改めて実感するところです。
JR九州では豊肥本線再開に合わせて「スイッチオン!豊肥本線全線開通プロジェクト」と称して来年1月までいろいろなイベントや期間限定の割引きっぷの発売を行っています。
「スイッチオン!豊肥本線フリーパス」は再開日の8月8日から9月27日(利用は9月30日)までの期間限定で発売されているきっぷです。その名の通り豊肥本線(熊本~大分間)と大分~別府間の特急列車自由席が1日フリーになるきっぷです。特急指定席を利用する場合は指定料金券の購入が必要です。
発売は「JR九州インターネット列車予約サービス」のみで、乗車3日前までの購入が必要です。3日前までに購入してしまえば受け取りは当日でも大丈夫です。発売額は大人3,000円に対し小児はわずか500円です。家族旅行にはぴったりです。
これが私が使用してきた現物です。受け取った時に「120mm券なんだ...」と思いました。フリーエリア内の熊本・大分・別府の3駅には自動改札が導入されているため、非対応の120mm券だったのは意外でした。
全国的に自動改札の導入が進んでいる中で、1日利用型のフリーきっぷで未だに120mm券なのはJR東日本の「軽井沢・長野フリーきっぷ」やJR東海の「休日乗り放題きっぷ」などごくわずかです。
ひとこと
大人3,000円という価格は安いと思います。特急自由席で熊本~大分間は正規で4,550円するので3割以上安い計算になります。特急指定席の片道1回の利用であれば別途530円の指定料金券が必要になりますので、「2枚きっぷ(指定席用)」の1回分(3,400円)の方が安いです。
特急自由席の片道1回の利用であれば熊本からだと緒方以遠、大分からだと宮地以遠で元が取れます。往復したり途中下車したりするともっと割安感が出ます。
使い勝手:★★★★☆
お得感:★★★★★
私は運転再開初日に利用しました。新たに敷き直された真新しい線路の乗り心地を楽しみつつ沿線に目を移してみると、ところどころ地肌がむき出しになって山崩れした跡や地震で崩落し斜面にぶら下がったままの阿蘇大橋の残骸もあり、熊本地震の被害の凄まじさを車窓からでも目にすることができました。
一方で崩落した阿蘇大橋に代わる新阿蘇大橋の建設も少し離れた場所で着々と進んでいました。橋脚はほぼ完成し、来年3月の開通に向けて橋桁を繋ぐ作業が進んでおり、これが完成したら復興に弾みがつきそうだなと感じました。
宮地駅の待合室のカフェと併設した形で「豊肥本線災害復旧資料館」という展示スペースがあります。これまで豊肥本線が自然災害によって受けた被害の様子やその復旧工事の様子がパネルで展示してあります。また、熊本地震の山崩れでぐにゃぐにゃに曲がったレールの一部が展示されており、硬いはずの鉄のレールがいとも簡単に曲がってしまっていることに衝撃を受けました。時間があれば是非見て欲しいところです。
【補足:2020/9/15】
JR九州のプレスリリースで「スイッチオン!豊肥本線フリーパス」は好評につき2021年1月11日出発分まで発売延長されることが発表されました。