肥前大浦
地方の普通列車は県境を跨ぐ区間の本数が極端に減るところが珍しくありません。有名なのが大分-宮崎県のいわゆる「宗太郎越え」で、日豊線・重岡~延岡間は下り1本、上り2本しかありません。そこまで極端ではありませんが、佐賀-長崎県の長崎本線もなかなかのものです。
区間 | 下り | 上り |
---|---|---|
肥前鹿島~肥前浜 | 15本 | 16本 |
肥前浜~多良 | 12本 | 14本 |
多良~肥前大浦 | 10本 | 12本 |
肥前大浦~小長井 | 7本 | 7本 |
小長井~湯江 | 9本 | 9本 |
湯江~諫早 | 11本 | 11本 |
県境区間を走る肥前鹿島~諫早間の本数です。一番少ないのは県境を跨ぐ肥前大浦~小長井間で1日7往復です。肥前大浦発の下り(長崎方面)の最終列車は18:58発という早さです。また、上りも以前は12本ありましたが、2019年3月のダイヤ改正で一気に7本にまで減らされています。
佐賀県側南端の肥前大浦駅は有明海に沿って走る国道沿いにあって、交通量が多くそれなりに人家もあります。鹿島バスセンターから直通する路線バスも1日数本あります。令和元年度版の「佐賀県統計書」という資料によると、2019年度の年間の乗車人員は52,964人で、1日当たりに換算すると145人です。発着する電車の本数の割には多いという印象を受けます。
駅自体は無人ですが、国道を挟んだ真向かいの衣料品店でピンクの常備券の近距離乗車券を発売しています。
直近では大人は初乗りの230円から博多・香椎・大牟田相当の2,130円までの120Km以内の全券種ありました。大人で2,000円超えの金額券は珍しいので、いつか実使用してみたいものです。また、小児は230円(初乗り)、480円(肥前鹿島・諫早相当)、950円(武雄温泉・浦上相当)、1,130円(佐賀相当)の4種類ありました。
初めて現地に行った3年前に2・3枚目のような金額が太い券から、1枚目のような券紙の色が薄く金額が細い券への移行が進行していましたが、3年経った今月時点でもわずかに太い券が残っていました。
肥前鹿島~肥前山口間は来年秋に西九州新幹線が開業する際には電化設備を撤去し、非電化となる予定です。当初は第三セクター化されJR九州の経営から分離される計画でしたが、地元(特に佐賀県鹿島市)の猛反発で新幹線工事の着工に必要な同意が得られず、着工できない状態に陥りました。そのための妥協策としてJR九州が鉄道施設を地元(佐賀県・長崎県)に有償譲渡し、JR九州がその線路を借りて新幹線開業後も20年間運行するという方針で決着しました(後に無償譲渡で23年間に延長に変更)。
この区間を電車が走るのもあと1年半ちょっとになることがほぼ確定したので、しばらくはこの辺りへの出没頻度が増えそうです。
【補足:2022/9/3】
肥前大浦駅は9月22日で簡易委託解除される予定とのことです。
【補足2:2022/9/27】
肥前大浦駅は簡易委託を解除し無人化されましたのでカテゴリーを追加しています。