新幹線&やくも早特3
「新幹線&やくも早特3」は山陽新幹線(新大阪・新神戸~岡山)と特急「やくも」の指定席を3日前までに購入すると半額近く割引になる乗車券込みの片道タイプのきっぷです。発売はe5489と山陰地区の旅行会社で、駅のみどりの窓口では発売しません(e5489の受け取りはできます)。
さっそく価格の比較をしてみます。正規料金の新幹線部分は「のぞみ」「みずほ」の指定席で計算しています。関西側の発着は新大阪(大阪市内)と新神戸(神戸市内)の2つだけで、発売額はどちらも同額です。所要時間は新大阪発の最速パターン(「のぞみ57号」→「やくも29号」の乗り継ぎ)のものです。
新幹線&やくも | 正規運賃+料金 | 割引率 | 所要時間 | |
---|---|---|---|---|
大阪/神戸市内~米子 | 4,500円 | 10,350円 | 56.5% | 3時間10分 |
大阪/神戸市内~松江 | 5,000円 | 11,010円 | 54.6% | 3時間34分 |
大阪/神戸市内~出雲市 | 5,000円 | 11,340円 | 55.9% | 3時間59分 |
第一印象でネット予約で席数限定とはいえすごい価格だなと思いました。新大阪~岡山間の新幹線だけで6,000円を超えると聞けば、この価格のすごさが端的に分かるかと思います。
これはおそらく高速バスを意識した値付けではないかと思います。以下に高速バスと所要時間・正規運賃・本数を比較してみます。
所要時間 | 正規運賃 | 本数 | |
---|---|---|---|
大阪梅田~米子駅前 (日本交通) |
3時間35分 | 4,900円 | 4往復 |
三宮BT~米子駅前 (日本交通) |
3時間22分 | 4,700円 | 1往復 |
大阪梅田~松江駅 (阪急・一畑・中国JRバス) |
3時間32分 | 5,100~6,000円 | 10往復 |
大阪梅田~出雲市駅 (阪急・一畑・中国JRバス) |
4時間32分 | 5,600~6,500円 | |
神姫三宮BT~松江駅 (神姫・中国JRバス) |
3時間55分 | 4,200~5,500円 | 3往復 |
神姫三宮BT~出雲市駅 (神姫・中国JRバス) |
4時間50分 | 4,600~6,000円 |
松江・出雲市発着は同じ路線で、途中に松江駅を経由します。所要時間で比較すると、松江はほぼ互角で、米子と出雲市はJRの方が速いです。
私のような遠方の人間だと、高速バスで関西と山陰が5,000円ソコソコで行き来できるのは案外安いなと感じます。「新幹線&やくも早特3」は運賃面でも対抗すべく、そこに殴り込みをかけたと考えていいでしょう。
こちらが私が使ってきた現物です。企画券本体に指のみ券という特に珍しくない様式です。3日前まで予約・決済までしておけば、このきっぷのように受け取りは利用当日でもOKです。内方乗車については、「新幹線&やくも早特3」の設定のない安来・宍道・玉造温泉発着の場合は内方乗車にならざるを得ませんので、特に問題ないはずです。私が根雨駅から乗車した際も何も言われませんでした。
ひとこと
このきっぷの関西発の利用客専用(e5489でのカード決済に限る)に「松江・出雲ミニぐるりんパス」というJRとバスのフリーきっぷのオプションが用意されていて、それを利用すると周辺の観光にも利用できます。最近往復タイプのフリーきっぷが減少していますが、片道タイプのトクトクきっぷにこういうオプション券が付けられれば補完になると思います。
このきっぷは2点注意しなければいけない点があります。一つは購入してしまうとその後の変更は一切不可である点と、もう一つは乗り遅れた場合は後続列車の自由席が利用できずきっぷ自体が無効になるという点です。使い勝手についてはそこで減点しています。それさえ気を付ければ安くて便利なきっぷです。
使い勝手:★★★☆☆
お得感:★★★★★
当日発売:なし(3日前まで)
小児用:あり
【補足:2022/10/10】
「新幹線&やくも早特3」は2022年3月末で発売終了したのでカテゴリーを追加しています。4月以降は「WEB早特7・14・21」にリニューアルされていますが、割引率は大幅に落ちています。