特急「成田エクスプレス」のグリーン料金は1991(平成3)年の運行開始当初からJR東日本管内の他の新幹線・特急列車とは異なる料金体系になっています。
◆1991年3月19日~1997年9月30日
100Kmまで | 200Kmまで | |
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JR東日本の新幹線・特急列車 | 1,220円 | 2,620円 |
成田エクスプレス | 2,500円 | 2,800円 |
◆1997年10月1日~2002年11月30日(消費税3%→5%)
100Kmまで | 200Kmまで | |
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JR東日本の新幹線・特急列車 | 1,240円 | 2,670円 |
成田エクスプレス | 2,550円 | 2,850円 |
「成田エクスプレス」のボリュームゾーンである100Km以内のグリーン料金はJR東日本管内の他の新幹線・特急列車の倍以上の価格に設定されていました。新型車両の253系を投入し、2-1列の幅広い座席に無料のドリンクバーまで設けられていて、それ相応の対価として設定されたのかもしれません。その代わり100Kmを超えた際の上がり幅は300円と小さくなっています。
この当時のグリーン料金が適用されたきっぷです。横浜~千葉間の営業キロが68.0Kmでグリーン料金は2,550円と距離の割にかなりお高くなっています。
◆2002年12月1日~2007年10月31日(グリーン料金値下げ)
100Kmまで | 200Kmまで | |
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JR東日本の新幹線・特急列車 | 1,000円 | 2,000円 |
成田エクスプレス | 2,550円 | 2,850円 |
2002(平成14)年の東北新幹線八戸開業のタイミングで、グリーン車の利用促進のためJR東日本管内で完結する新幹線・特急列車のグリーン料金が値下げされました。しかし、「成田エクスプレス」については据え置かれ、割高感が際立つ設定となっていました。
◆2007年11月1日~2014年3月31日(制度改訂)
100Kmまで | 200Kmまで | |
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JR東日本の新幹線・特急列車 | 1,000円 | 2,000円 |
成田エクスプレス | 2,000円 |
◆2014年4月1日~2019年9月30日(消費税5%→8%)
100Kmまで | 200Kmまで | |
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JR東日本の新幹線・特急列車 | 1,030円 | 2,060円 |
成田エクスプレス | 2,060円 |
◆2019年10月1日~2021年5月26日(消費税8%→10%)
100Kmまで | 200Kmまで | |
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JR東日本の新幹線・特急列車 | 1,050円 | 2,100円 |
成田エクスプレス | 2,100円 |
2007(平成19)年の制度改訂で「成田エクスプレス」のグリーン料金の最短の距離区分が200Km以内となるとともに、管内の新幹線・特急列車のグリーン料金の水準に合わせて、100Km以内で550円、200Km以内で850円の大幅値下げが実施されました。
この当時のグリーン料金が適用されたきっぷです。空港第2ビル~新宿間の営業キロが85.4Kmでグリーン料金は2,060円と距離の割に高いですが、以前よりはだいぶ安くなっています。
◆2021年5月27日~2022年3月11日(制度改訂)
100Kmまで | 200Kmまで | |
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JR東日本の新幹線・特急列車 | 1,050円 | 2,100円 |
E259系で運転する特急 | 2,100円 |
グリーン料金は変わっていませんが、これまで「成田エクスプレス」と名指しでグリーン料金が設定されていたものが「E259系車両で運転する特別急行列車の特別車両に対して適用する特別車両料金」という表現に変わりました。
E259系で運転された「成田エクスプレス」以外の列車というと特急「マリンエクスプレス踊り子」が思い浮かびますが、「マリンエクスプレス踊り子」は2020年3月のダイヤ改正以降は設定されていないので、このタイミングでの制度改訂はちょっと違和感があります。
◆2022年3月12日~現在(グリーン料金値上げ)
100Kmまで | 200Kmまで | |
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JR東日本の新幹線・特急列車 | 1,300円 | 2,800円 |
E259系で運転する特急 | 2,800円 |
昨年3月のダイヤ改正でJR東日本管内のグリーン料金の全体的な値上げに伴い値上げされました。200Km以内は均一料金で管内の新幹線・特急列車のグリーン料金の水準に合わせているのは変わりません。
先日、E259系を今月から順次リニューアルすることが発表されました。以下プレスリリースからの引用です。
253系から始まり、現行のE259系を含めて「N’EX」としての車両デザインにて長く親しんでいただきましたが、このたび、「新生E259系としての進化」をコンセプトとして、E259系「成田エクスプレス」のデザインをリニューアルいたします。
何を以って「新生」および「進化」としているのかよく分かりません。続きます。
1.リニューアル概要
(前半省略)「N’EX」が創り上げた空港アクセス特急のイメージを継承しつつ、シルバー基調のカラーを先頭車両の前面、側面に取り入れ、「ご利用いただく様々な場面」や「移り変わる沿線地域の風景」を映し込むこととしました。これにより、「空港アクセス特急に限らない多様化したご利用目的に合わせた都市間輸送特急」、そして「時代の変化に対応し持続して進化を遂げる」ことを表現しています。
大事なところは赤字で強調しました。新生とか進化とか時代の変化に対応とかキャッチーなフレーズを使っていますが、要するに「E259系を空港アクセス特急以外としても使おうと思ってるから、空港アクセス特急のイメージの強い現行塗色を変えて銀色にするで」ということです。
今年3月のダイヤ改正で高崎線特急の車両が651系からE257系に置き換えられました。これにより波動用のE257系が足りなくなっているようで、今年4~5月のあしかがフラワーパーク臨には2年ぶりに185系が復活するぐらいです。185系だってそんなに長く使えるわけではないので、抜本的な対策としてE257系の不足をE259系で補うんだと思います。
E259系のリニューアル対象に内装は含まれないようなので、車内設備はグリーン車も含めそのまま使うと思います。そこで2021年5月の制度改訂が生きてきます。異なるグリーン料金の対象を「E259系で運転される特急」と車両形式に変更したことによって、「成田エクスプレス」に限らず今後E259系で運転される特急列車のグリーン料金は全て200Km以内2,800円になると見られます(運用前に再度の制度改訂がなければ)。
中長期的な車両運用を検討する中で、2021年以前にはE259系を空港アクセス特急以外の波動用にも使おうという話が出てきていて、実施より前に制度改訂だけは済ませたのかなと推測しています。