続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

ふたつ星4047

ふたつ星4047

◆種別:特急

◆区間:武雄温泉~長崎(往路は肥前鹿島周り、復路は早岐周り)

 特急「ふたつ星4047」は昨年9月の西九州新幹線開業に合わせて、西九州を周遊するD&S列車(=観光列車)として走り始めました。

 運転区間は武雄温泉~長崎間ですが、往復で経路が異なります。往路(午前便)は佐世保線を上って江北まで至り、江北で方向転換し長崎線に入って諫早からは景色の良い長与支線を経由して長崎に至ります。往路の車窓では有明海や雲仙が見えます。

 復路(午後便)は往路同様長与支線から諫早を通って、今度は大村線から早岐を経由して武雄温泉に至ります。復路の車窓では大村湾やハウステンボスが見えます。

ふたつ星4047:長崎駅 2022/10/15

 1・3号車は廃止になった特急「はやとの風」を改造した車両です。2号車は「いさぶろう・しんぺい」の予備車を転用しました。要は肥薩線の不通により用途を失った車両の転用です。

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 キハ47-4047  キシ140-4047 キハ147-4047

 キハ140・147系という車両はキハ40・47系の機関強化型で九州独特の車両です。列車名の「4047」は車両形式から来ています。車番は3両とも4047です。真っ黒だった「はやとの風」からは一変し、白く輝く車両になりました。私が乗車したのが昨年10月で、デビューから1ヶ月も経っていない頃だったのできれいな車両だなというのが第一印象でした。

www.nipponsteel.com

 金色の装飾部分は金属板かカッティングシートを貼ったのかと思いましたが、意匠性チタンという日本製鉄自慢の新しい塗料です。軽量で耐久性に優れ長寿命とされるこの塗料が鉄道車両に使用されたのは世界で初めてなんだそうです。西九州新幹線開業で確実に注目を浴びるであろう観光列車に世界初の新素材を取り入れたのは大変意欲的だと感じました。

ふたつ星4047の座席 2022/10/15

 しかし、客室に入った時に当初の好印象が変わりました。床こそきれいに磨かれていましたが、座席は「はやとの風」のままで、明らかにくたびれていました。枕カバーは省略され座席に残るマジックテープがそれを主張しています。

 観光列車に乗ることは普段乗る列車とは違ったある種の非日常を楽しむことだと考えています。外装やラウンジには気合を入れたけど、客室まではお金がありませんでした的な世知辛い現実は見せず、こういうところは見栄を張って欲しかったです。座席を流用するにしてもせめてモケットの張替えぐらいはすべきでした。

キシ140形式表示 2022/10/15

 2号車のキシ140-4047は「ラウンジ40」というビュッフェ車両です。気動車の食堂車・ビュッフェであるキシという形式はJR初期まで存在しましたが、普通列車用のキハ40をベースにした「キシ140」という形式はさすがに初めてです。

ラウンジ40車内 2022/10/15

 「ラウンジ40」の車内です。まぁJR九州のD&S列車のデザイナーはいつものあのお方なのでどうしても似たり寄ったりな感じにはなります。

 ビュッフェ・売店と海側に向いたソファーがある共有スペースで、車内の体験イベントもここで行われます。譲り合って使うよう車内放送がありましたが、荷物を置いて場所取りしている人が多くてなかなか空きませんでした。ビュッフェを占有して自分専用のごとく使う人は昔からいますが、何とかならんもんかなと感じました。

千綿駅 2022/11/5

千綿駅に停車中の「ふたつ星4047」 2022/10/15

 復路の一番の見どころは大村湾の車窓風景と大村線・千綿駅でしょうか。千綿駅は大村湾の海辺に建つ小さな木造駅舎の駅です。この駅舎とホームから見える海辺の風景を目当てに多くの人が訪れます。「青春18きっぷ」のポスターに使われたこともあります。10分停車するので列車から降りて景色や地元のおもてなしを楽しむことができます。

 きっぷ趣味的には駅舎内のフラワーショップが簡易委託を受託しており、きっぷの発売をしています。ピンク色の金額券の他に今年5月からは台紙と押し花付きの記念乗車券(760円区間)を1,300円で発売しています。簡易委託を受託しているフラワーショップ謹製の押し花なので、間接的に簡易委託先にもお金が落ちる好ましい仕組みになっています。

 往路の諫早湾や雲仙が見える席がA席で、往路・復路の大村湾が見える席がD席です。なので、私が乗車した復路のB席は山しか見えない通路側で大ハズレ席です。

 見ての通り旧株主優待割引を活用して半額で乗車しました。定価は九州内B特急料金が適用されて2,330円(通常期)です。e5489や九州ネット予約でも特急料金は割安になりません。10月以降乗車分のD&S列車の特急料金値上げが発表されており、10月以降は2,830円になります。同区間の西九州新幹線の特急料金が2,290円ということを考慮するといいお値段です。

 ちなみに復路便で武雄温泉到着後、17:50発の博多行き特急「みどり(リレーかもめ)46号」に乗り換えたい場合は注意が必要です。

武雄温泉駅10番線から 2022/10/15

 上の写真のように「ふたつ星」は在来線ホームの1番線に到着し、「みどり46号」は新幹線改札内で新幹線と対面乗り換えができる10番線から発車するので、在来線改札を出て新幹線改札から入り直す必要があります。

 そして、新幹線改札に入る際に乗車券と「みどり」の特急券を通すとなぜか「経路外」というエラーではじかれて通れないというかなりイケてない設定なので、有人改札に直行しなければなりません。これらを5分で済ませるのは不可能ではないですが、かなり慌ただしいです。

 もし、「ふたつ星」に終点まで乗り通したいというこだわりがなければ、一つ手前の有田駅で降りることをお勧めします。同一ホームで乗り換えができる上に、長崎からだと特急料金が1,730円(10月以降は2,230円)と600円安くなったりします(博多までの「みどり」の特急料金は有田発でも武雄温泉発でも変わりません)

 現在は時計回りの運行になっていますが、しばらく経ってマンネリ化してきたら反時計回りにしてみてはどうかと思います。夕焼けの諫早湾から見る雲仙もまた絶景です。