JR北海道一部特急全車指定席化
11月11日付の北海道新聞の独自報として、来年3月のJR北海道のダイヤ改正の概要をまとめた記事がありました。要約すると以下のような感じです。(注:11月15日に公式リリースが出たので下に追記しています)
- 特急「北斗」「すずらん」「おおぞら」「とかち」の全車指定席化
- 特急「ライラック」「カムイ」の自由席を減車(4両→2両)
- 日中の快速「エアポート」の増発
- 北広島~新千歳空港間各駅停車の区間快速の設定
- 桑園駅への快速停車
JR東日本や西日本で在来線特急列車の全車指定席化が進んでいますが、JR北海道も追随する形です。おそらく本命は都市間を結ぶ長距離特急の「北斗」「おおぞら」で、ついでに合間を埋める区間便の「すずらん」「とかち」もまとめて全車指定席化する形はないかと思います。
全車指定席化と同時に特急料金体系を大きく変えて満席時は指定席特急券と同額の座席未指定券を発売するJR東日本方式なのか、あくまで特急料金は変えずに全車指定席化し満席時は自由席特急券と同額の立席特急券を発売するJR西日本方式を導入するのかも気になるところです。満席時でも減収にならないのは前者です。
当然ながら特急列車の全車指定席化や自由席の減車は増収を目的としたものです。トンネル工事の難航で北海道新幹線札幌開業の時期が年単位で延びそうな中、黒字化が見通せないJR北海道が少しでも増収に走るのはある程度仕方がないと感じます。
一方で「北斗」「すずらん」は札幌・南千歳~苫小牧や森・大沼公園~函館、「おおぞら」「とかち」は帯広~新得・池田や白糠~釧路など短距離客も比較的多い印象です。値上げは近距離であればあるほど負担感が大きいです。25Km以内の区間だと320円が850円になります。
また、全車指定席化される列車の一部の停車駅では特急列車が停車する時間帯にみどりの窓口が閉まっていて指定席券売機も設置されていない駅がいくつかあります。
例えば長万部駅のみどりの窓口の営業時間は7:00~18:15で、それ以外の時間は無人となり近距離券売機も止めてしまいます。追分駅や新夕張駅は日曜祝日は休みで、沼ノ端駅やトマム駅にいたっては無人駅です。これらいずれの駅も指定席券売機はありません。
できるだけ「えきねっと」のチケットレスに誘導していきたいんでしょうが、それだけですべての対応はできません。全車指定席化するまでに指定席券売機の設置か営業日・営業時間の拡大をし特急券を買いやすくする措置が必要です。値上げをするにしても事業者としてやるべきことをやってからにして欲しいものです。
今回の全車指定席化によって「乗車券往復割引きっぷ」と併用前提で自由席利用タイプの「北斗オプション特急券」は「すずらんオプション特急券」(この制度は建付けからしておかしいとずっと思ってますが…)は姿を消すことになろうかと思います。往復割引タイプのきっぷの発売を継続するなら指定席特急料金込みの「Rきっぷ」の復活がいいと思います。
また、トマム駅で実施されているQRコードを利用した乗車駅証明書も自由席利用が前提なのでなくなる可能性があります。こちらは駅利用客の大半が星野リゾートの宿泊客で外国人客も多いでしょうから、星野リゾートに簡易委託をお願いしてホテルで特急券を売ってもらった方がいいように感じます。
北海道では大きな影響力のある北海道新聞が報じたので、リークの可能性も含めあながち見当違いな情報ではなさそうです。今日明日あたり正式発表があるかもしれないので注目です。
【2023/11/15 20:10】
この記事をアップした7時間後のプレスリリースで詳細が発表されました。4列車が全車指定席化される関連で新たに明らかになったのは以下の内容でした。
- 指定席特急券の他に満席時や空席利用時に同額の座席未指定券を発売(JR東日本方式)
- 駅発売の往復割引きっぷは全廃し割引きっぷは「えきねっと」に移行
- 「すずらん」は全区間特急とし東室蘭~室蘭間は乗車券のみで空席利用可
- 「おおぞら」「とかち」の新夕張~新得間は乗車券のみで普通車の空席利用可
- 指定料金券・グリーン料金券の発売終了
- トマム駅のQRコード乗車証明書は継続で普通車の空席利用可
- 「かよエール」は「かよエール+」に移行し3日前から指定券交付可能に
個人的には駅発売の往復割引きっぷを全部ぶった切ったのは意外で、短距離利用時の救済がなさげなのも気になりました。