平成28年春のダイヤ改正で常磐線特急が全車指定席化され、自由席がなくなりました。そのタイミングで「ひたち回数券」や「フレッシュひたち料金回数券」といった常磐線沿線で設定されていた特急回数券は全廃されました。
ただ、なくなったのは個人向けの話であって、大口顧客向けの回数券は残っています。トクトクきっぷを全廃することで大口顧客に他交通手段に逃げられると困りますから、ちゃんと裏の手が用意してあります。大口顧客に便宜を図るのはJRに限らず客商売ではどの世界にでもあることで、不平等でも何でもありません。
「ビジネスライナー(常磐線)」というのが今あるそれです。以前は「ビジネスライナーきっぷ」と称していました。上部に(乗車券・指定席特急券)とあるように、乗車前に無料で指定を受けることができます。かつての「ひたち回数券」の茨城県側の発着駅は勝田~友部でしたが、このきっぷは水戸~東海と若干変わっています。
今の価格は特急料金の料金体系が変わっているので何とも言えませんが、旧特急料金の頃は20枚綴りで、1枚あたりの価格は「ひたち回数券」(上野〜水戸・勝田が3,900円)より少し安いぐらいでした。なので現在の特急料金の水準だと1枚あたり3000円台前半〜半ばぐらいだと思います。
発売箇所を見て気づかれた方もいるかもしれませんが、このきっぷを発売したのは日立トラベルビューローという日立グループ関係者向けの旅行会社です。1冊単位で売るのではなく、社内で必要に応じてばら売りをしています。
一般向けに発売していないきっぷなので、JR東日本の「おトクなきっぷ」のページで検索しても出てきませんし、街中の旅行会社で欲しいと言っても(たぶん)買えません。ただ、ごく稀に「市場」に出ることがあります。私が聞いた限り利用資格に制限はないので、入手さえできれば利用することは可能です。