続・吾輩はヲタである

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市川大門駅再無人化へ

 今年の仕事始め早々に山梨県市川三郷町のHPに身延線・市川大門駅の簡易委託が今年3月末で終了し再度無人化することが発表されました。

www.imadegawa075.net

 市川大門駅は国鉄時代の1985(昭和60)年に無人化されましたが、2012年3月に鰍沢口駅の無人化により町内から有人駅がなくなったことから、町が簡易委託を受託し2013年4月から28年ぶりに窓口が再開していました。

市川大門駅窓口 2018/11/3

 しかし、町の人口減少や身延線利用客低迷による売り上げの減少で運営は厳しかったようです。委託料収入から人件費や光熱費など必要経費を差し引いた11年間の累積赤字は5,000万円に及ぶそうです。

www.furusato-tax.jp

 2019年にはふるさと納税型のクラウドファンディングで寄付を集め、必要経費や2名分の臨時職員の人件費を賄うということもやっていました。クラウドファンディングは問題の先送りであって抜本的な解決策にはならないんじゃないかと思いましたが、結果その通りとなってしまいました。

市川三郷町のHPより

 市川三郷町は昨年9月に「財政非常事態宣言」を発しています。町の実質的な収支は2017~2022年度の5年連続で赤字で、財政構造の硬直性を示す指標である「経常収支比率」は全国の自治体でワースト11位(山梨県ではワースト1位)なんだそうです。このままでは最低限の行政サービスの維持すら困難になるため、行財政改革であらゆる支出を削る中で今回の簡易委託解除となったようです。

 市川三郷町はその名の通り三町が対等合併して2005年に発足した町です。通常、会社が合併した際には重複する事業の整理、事業所や拠点の統廃合に間接部門や基幹システムの一本化など組織を一体化しスリムにする施策が行われます。

 しかし、市川三郷町は合併による財政支援措置が縮小し始める2016年度までには事務事業の見直しや公共施設の統廃合を行い適正規模にしておく必要があったんですが、それがほぼなされないまま財政支援措置が2021年度で終了してしまったため今回の「財政非常事態宣言」に至ったようです。会社に例えるなら完全に放漫経営です。


 長く無人だった駅が簡易委託駅として窓口業務が再開される例は稀なので、どうなるか動向は注目していました。町の財政に余裕があれば維持可能だったでしょうが、クラウドファンディングをやったあたりからあやしい雰囲気は出ていて、「財政非常事態宣言」が出たところで簡易委託が終了するだろうなと予想できました。

 市川大門駅で窓口業務を行うために町が臨時職員を2~3人雇っていました。また、土日も無休で朝から夕方まで営業していました。地元の企業やNPO法人等に委託し、利用の少ない日や時間帯は休止していれば赤字はもう少し減らせたのではないかと思っています。

 趣味的に簡易委託解除は残念ですが、行政サービスの維持を犠牲にしてまで続ける必要はありません。直近で行ったのが2018年の11月で、その時は端末がまだMR32型でした。MR52型になってからは行っていないので、無人化の前に再訪しておこうかなとは思っています。