仙山線・作並駅は仙台市青葉区にある駅です。仙台駅から30Km近く離れていますが仙台駅と同じ青葉区です。仙山線のほぼ中間に位置しています。
少し離れたところに作並温泉という小規模な温泉街とニッカウヰスキーの工場がありますが、駅周辺に人家はまばらで日常的な駅の利用客は多くなく、コロナ禍前は1日の乗車人員が200人弱で推移していました。
作並駅は国鉄時代末期には簡易委託化され、昨年3月まで「仙台市作並・定義地区観光案内所」が簡易委託で窓口業務を受託していました。POS端末が設置されていて毎日09:15~15:30という営業時間で比較的きっぷが買いやすい駅で、駅の窓口で観光案内やむすび丸グッズの販売も行っていました。
ところが「仙台市作並・定義地区観光案内所」が作並温泉近くの国道沿いにある観光交流施設に移転することとなり、移転前日の昨年3月22日をもって作並駅の簡易委託の受託を終了しいったん無人化されました。作並温泉を訪れる人はほとんどが車なので、列車よりも車で訪れる客に対しての利便性を優先し効率化するというのは無理からぬ判断だったと思います。
昨年12月に「仙山線作並駅における郵便局窓口業務と駅窓口業務の一体運営の開始」というJR東日本と日本郵便連名のプレスリリースが出されました。郵便局と駅の機能連携として、2024年1月24日に作並駅の観光案内所があったところに郵便局を開局し、郵便局が駅の窓口業務も一体運営することが発表されました。要は郵便局による簡易委託の再開です。
駅の無人化とだいたい時を同じくして昨年6月末で作並駅のほど近くにあった作並郵便局が建物の老朽化を理由に閉局しており、住民からは郵便局再開の要望が上がっていたそうです。
郵便局と簡易委託駅という組み合わせは内房線・江見駅が思い浮かぶかもしれません。ただ、江見駅と作並駅では運営形態が若干異なります。
江見駅は日本郵便がJR東日本から駅窓口業務を直接受託したのに対し、作並駅は仙台市の不動産関連会社がJR東日本からの駅の窓口業務と日本郵便からの郵便局業務の両方を受託しています。なので駅に開局した郵便局は作並簡易郵便局になります。このように民間企業が駅と郵便局の業務の両方を受託し一体運営するのは全国初とのことです。
簡易委託再開後の作並駅の窓口の様子です。シャッターの左手は郵便局の窓口で、右手は駅の窓口です。中は繋がっていますがこのように窓口は分かれています。おそらく駅の非営業時間帯はシャッターを閉めているんだと思います。
むすび丸グッズが置いてあったスペースは観光展示コーナーとなっていて、近辺の特産品が展示してありました。しかし、ここでの販売は行わなくなったようで販売に関する連絡先が記載されているだけでした。郵便局に委託したゆえの制約があるのかもしれません。
簡易委託再開後もPOS端末が設置されています。端末の発売箇所表記は「作並471」のまま以前と変わっていません。取り扱い券種も乗車券・(磁気)定期券・自由席特急券と変わっていません。入場券は駅掲示の取り扱い券種にはありませんが、以前と同様に発売してもらえます。
簡易委託再開後の窓口の営業時間は平日9時~16時です。観光案内所に委託していた頃は09:15~15:30だったので平日の営業時間は45分延びましたが、営業していた土休日は郵便局に合わせて休みになりました。
少子高齢化社会で就労人口が減っていく中、駅も郵便局も窓口業務を担う人を確保するのが難しくなっています。今後もこういった一体運営されていく駅が増えていきそうな感です。観光地の駅の窓口が土休日休みというのは物足りなさを感じないわけではないですが、もはやあまり贅沢も言っていられないのかもしれません。