続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

往復乗車券発売終了・往復割引廃止へ

 昨日JRグループで「往復乗車券及び連続乗車券の発売終了について」というプレスリリースが発表されました。内容は再来年(2026年)3月に往復乗車券及び連続乗車券を廃止するとのことです。

 廃止の理由として交通系ICカードの全国的な普及やインターネット予約の利用増に伴って往復乗車券や連続乗車券の利用が減ったためとしています。

Suica利用者への注意書き:東海道線・三島駅 2022/12/4

 交通系ICカードの普及が進んだのは確かですが、会社やエリア跨りの問題は未だ解決できていませんし、JR西日本では200Km制限がありJR四国では高松周辺以外はほぼ使えません。そういう場合はきっぷの購入が必要になり、交通系ICカードの普及が往復乗車券を発売終了する理由にはならないと思います。インターネット予約の利用も増えているんでしょうが、それも往復乗車券を発売終了する理由にはどうも結びつきません。

 もし、往復利用したい場合は片道乗車券を2枚買うことになります。でも、客にとっては確実に二度手間ですし、発券をする係員にとっても一操作でできたものが二操作になると手間が増え、少なくとも現場レベルでは誰も嬉しくない(はず)です。

 往復乗車券の発売終了に伴って片道601Km以上の往復利用時に適用されていた往復割引についても合わせて廃止されます。割引率が往復1割ずつですが片道601Km(本州三社の幹線で9,790円)以上が条件なので割引額はソコソコ大きくなります。結局これをやりたいがためにもっともらしい理由をこじつけて往復乗車券ごとぶった切ったのが真相じゃないかと思っています。

往復割引適用の乗車券

 こちらが往復割引適用の乗車券です。片道13,420円のところ往復割引適用で24,140円(片道あたり12,070円)となっています。往復での割引額は2,700円です。往復割引の廃止によってこの分がそっくり利用客の負担増=JRの儲けになります。

往復割引とジパング割引と重複適用された乗車券

 こちらの乗車券は往復割引とジパング倶楽部割引(3割)が重複適用された乗車券です。片道11,110円のところを割引が重複適用されたことによって往復14,000円にまで安くなっています。ちなみに学割も同様に重複適用されますが各種障害者割引はされないようです。

実施タイミング 実施内容
2022/11 JR全社で普通回数券の発売終了(2021/5~2022/11まで段階的に)
2024/3 乗継割引の全廃
2024/4 ジパング倶楽部入会年齢引き上げ(女性のみ)
2024/12 「青春18きっぷ」の改定
2026/3(予定) 往復乗車券・連続乗車券の発売終了・往復割引の廃止

 JRグループがコロナ禍以降に足並みをそろえて実施した乗客に対する不利益変更の主なものを挙げてみました。いずれも長く続いていたものに対してです。

撤去を前に使用中止されたごみ箱:東北線・福島駅 2021/9/5

減車でも詰め込めるよう座席を撤去した車両(JR九州管内) 2023/8/13

 個社レベルでも運賃・特急料金の値上げ、トクトクきっぷの値上げ・廃止やインターネット予約の改悪を進めています。ハード面においても列車の減便に車両の減車、自由席の削減、駅の窓口閉鎖や無人化、さらにはごみ箱や時計の撤去をしたところまであり、利用者としてはサービスが悪くなり選択肢は減る一方というのを強く実感しています。

 コロナ禍による大打撃を経てJRグループはもう少し利用客の方に向き合うかと思いましたが、気に入らないなら乗るなとばかりに逆に殿様商売にますます拍車がかかってしまった感です。

 首都圏~九州間の移動が多い私にとっては、往復割引の存在はJRを優先して利用する動機の一つにもなっていました。それがなくなり「EX予約」も改悪もされたとなるとJRを選好して利用する動機は消えます。

 こうやって少しずつ利用客が減っていくことにいつか気づくとよいですが、外国人観光客が穴埋めしてくれているうちは気づかないでしょうね。でも、もう一度コロナ禍のようなパンデミックが襲ってきて、アテにしてた外国人観光客がきれいに消えてコロナ禍よりもっと痛い目に遭っても正直もう知らんぜという感じです。