◆種別:特急
特急「はまかぜ」は昭和47年に特急「まつかぜ」を補完する特急として登場しました。「まつかぜ」は新大阪~博多間を福知山・山陰線経由で結んでいた長距離特急で、「はまかぜ」は「まつかぜ」の運転区間の東側に当たる新大阪・大阪~鳥取・倉吉間を播但線経由で結びました。ヘッドマークのデザインは鳥取砂丘です。
播但線経由にすることによって、神戸や姫路といった播磨地区と日本海側の但馬地区を一本で結ぶことができるようになりました。しかし、大阪から和田山以遠へは福知山線経由よりも遠回りになってしまうため、「はまかぜ」で途中下車しないで尼崎以遠(大阪方面)と和田山以遠(豊岡方面)を利用する場合に限っては運賃・特急料金は福知山線経由で計算できる特例(列車特定区間)が適用されます。
(山陰線・香住)
車両は昭和57年からキハ181系になってからはJR化後もずっと変更ありません。キハ181系は昭和43年に中央西線や奥羽線で投入されて以来、四国や山陰地方など西日本を中心に多く走っていましたが、ほとんどが新型車両に置き換えられています。この「はまかぜ」がキハ181系の定期運用の最後の牙城となっています。全車JR西日本京都総合車両所所属です。
本来のルーツは山陰と関西を結ぶ役目でしたが、平成6年に京都~鳥取間を智頭急行経由で結び新型車両を投入した特急「スーパーはくと」が登場し、その役目を取って代わられました。ダイヤを直近の時刻表で比較してみます。
<はまかぜ5号>
大阪(18:05)
→姫路(19:21)/和田山(20:33)/城崎温泉(21:11)/鳥取(22:32)
<スーパーはくと13号>
京都(19:31)/大阪(20:05)
→姫路(21:06)/上郡(21:31)/智頭(22:10)/鳥取(22:41)
大阪駅を「はまかぜ5号」よりちょうど2時間後に出た「スーパーはくと13号」は鳥取駅に着くのは9分差まで迫っています。ヘッドマークの鳥取砂丘とは裏腹に、現在の「はまかぜ」は実質兵庫県但馬地方と神戸・大阪とを結ぶ役目に終始しています。1・4号が大阪~浜坂、2・5号が大阪~鳥取、3・6号が大阪~香住と3往復すべての列車で運転区間が異なります。この他に冬場のカニのシーズンになると延長・増発されます。
私が乗った回数は5~6回ですが、わりと乗車率はよかったように思います。播磨から但馬への高速道路は朝来市(駅で言うと和田山)までしか延びていないので、車で行くには距離の割に時間を要します。城崎・豊岡から大阪・神戸を結ぶ特急バスも3時間程度かかるので、決して足の速くない「はまかぜ」でも対抗できているように思います。高速道路の整備状況によっては油断できませんが…。
遅ればせながら「はまかぜ」にも新型車への置き換えが発表されています。それに伴って来年の春にはキハ181系の定期運行がなくなるため、「はまかぜ」にカメラを向けている人が以前より多く見られたように思いました。大阪駅でもうもうと黒煙を吐きながら発車を待つ光景もそろそろ見納めです。新型車はグリーン車がないようなので、今のうちに乗っておきたいと思っています。