「中央線週末フリー乗車券」は中央東線沿線から東京周辺までの往復+フリーエリアがセットになったきっぷです。「週末」とあるとおり、土日2日間有効です。
JR線のフリーエリアは東京電車特定区間と概ね一致します。それに東京臨海高速鉄道(りんかい線)と東京モノレールが加わります。
平成26(2014)年3月末までは往復+フリーエリア+特急料金がセットになった「あずさ東京週末フリーきっぷ」として発売されていました。特急料金の分離については出発地によって是非が分かれるところです。韮崎あたりまでだったら普通列車だけでフリーエリアまで利用することはあるかもしれませんが、松本や信濃大町から特急列車を利用しないでフリーエリアまで利用することは現実的ではありません。
出発地は以下の8つです。もろもろの価格はすべて消費税が10%になった現在の価格です。
出発地 | 中央線週末フリー 大人 (小児) |
東京までの 往復普通運賃 |
割引率 | 新宿までの 特急料金 |
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塩山 | 3,050円 (1,010円) |
3,960円 (1,980円) |
23.4% (49.0%) |
1,580円 (790円) |
竜王~山梨市 | 3,360円 (1,120円) |
4,620円 (2,300円) |
27.3% (51.3%) |
|
韮崎 | 3,660円 (1,220円) |
5,280円 (2,640円) |
30.7% (53.8%) |
|
小淵沢・長坂 | 4,270円 (1,520円) |
6,160円 (3,080円) |
30.7% (50.6%) |
2,240円 (1,120円) |
茅野~富士見 | 4,580円 (1,620円) |
6,820円 (3,400円) |
32.8% (52.4%) |
|
辰野~上諏訪 | 4,880円 (1,730円) |
7,480円 (3,740円) |
34.8% (53.7%) |
2,550円 (1,270円) |
松本~塩尻 | 5,290円 (1,930円) |
8,140円 (4,060円) |
35.0% (52.5%) |
|
信濃大町~豊科 | 5,700円 (2,130円) |
9,680円 (4,840円) |
41.1% (56.0%) |
普通運賃と特急料金は各出発地の左側の駅を基点に計算しました(「辰野~上諏訪」の特急料金は岡谷から)。小児の発売額は大人の約3~4割と半額以下に設定されているため、大人の割引率が23.4~41.1%のところ、小児の割引率は49.0~56.0%とかなり高い割引率になっており、小児を伴った利用もしくは小児単独利用時には割安感があります。
ただし、このきっぷは運賃部分しか割引になっておらず、特急券は正規料金のものが必要です。そのため、往復特急列車を利用する場合は「あずさ東京週末フリー」の頃より割高になっていて、リニューアルという言葉の裏でちゃんと値上げしていたりします。
【ひとこと】
中央線特急は高速バスと競合しています。高速バスは点と点を結ぶしかないですが、JRはフリーエリアを設定することにより点と面を結べるのがメリットです。なので、高速バスとの対抗上、こういうきっぷは効果的だと言えます。
最近JR東日本の往復タイプのトクトクきっぷは乗車券と特急券を分離するタイプになっています。乗車券と特急券を分離してしまうと、往復特急利用時で結局トータルでいくらかかるのか分かりにくいです。これは高速バスへの対抗上でもよくないと思います。
3年前のJR北海道の「すずらんオプション特急券」の記事でも触れましたが、往復普通列車を利用する層に対しての割引は必要なく、そこまで甘やかす必要はありません。客単価の高い往復特急を利用する層にのみ割引をすればいいと思います。昨年3月のダイヤ改正で中央線特急の普通車は全車指定席化され特急料金が単純化されましたので、なおさら特急料金込みの往復+フリータイプの方がいいと思います。
使い勝手:★★★☆☆
お得感:★★☆☆☆
当日発売:なし(前日まで)
小児用:あり
【補足:2024/2/21】
「休日おでかけパス」のSuica版である「のんびりホリデーSuicaパス」を首都圏Suicaエリア全域で発売することと引き換えに、「中央線週末フリー乗車券」は2024年3月31日利用分で発売終了するとのことです。発駅から「のんびりホリデーSuicaパス」入口駅である大月駅までの往復の正規運賃が発生するので「中央線週末フリー乗車券」より大幅に割高になります。