続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

キハ281系北斗定期運行終了

 JR北海道のキハ281系が老朽化のため9月30日で定期運行を終えました。廃車に迫られるほど老朽化しているようには見えませんでしたが、札幌~函館間を1日1.5往復し1000Km近く走る日もあったので酷使されていたことは間違いなく、見た目以上に状態が悪かったのかもしれません。

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スーパー北斗5号:函館線・落部駅 2019/9/22

 キハ281系は1994(平成6)年3月のダイヤ改正で特急「スーパー北斗」として登場しました。JR北海道がJR四国2000系を基に開発した初の振り子型気動車で、気動車で国内初の時速130Km運転を行いました。当時キハ183系で札幌~函館間が最速3時間29分かかっていたところ、2時間59分にまで短縮し、高速化に大きく貢献しました。

 なお、翌年から改良型のキハ283系の製造が始まったため、キハ281系の製造両数はわずか27両に留まりました。廃車が発生することはなく、今年に入るまで全車両が生き残っていました。

 2011(平成23)年5月のキハ283系の石勝線脱線火災事故を契機に高速化路線が見直しされ、2013(平成25)年11月のダイヤ改正で最高速度は120Kmに引き下げされ、札幌~函館間で速くても3時間台半ばは要するようになってしまったのが残念なところでした。

北斗14号:室蘭線・苫小牧駅 2022/5/27

定期運用最終日の北斗5号:函館線・新函館北斗駅 2022/9/30

 定期運行終了までは特急「北斗」として1日3往復運転されていました。コロナ禍の需要減で5両に減車されていた時期もありましたが、直近では7両に戻っていました。

 定期運用最終日の9月30日は金曜日でした。金曜日に有休を取れば夕方函館を発車する「北斗19号」であれば最後のキハ281系に乗れるな…と漠然と考えていました。運試しがてら「えきねっと」の事前予約で「北斗19号」の「トクだ値」の予約を入れてみました。さすがに最終日の最終列車なんて簡単に取れないと思っていました。

北斗19号特急券(トクだ値30)

 ところが、予想に反して「トクだ値30」であっさり取れてしまいました。直後に空席を見てみたところ、通路側を中心に多数空きがあったので、とりあえず嫁の分をと思い隣の席も押さえました。

東京~新函館北斗間の特急券

 ここまで来たらいかにして「北斗19号」に乗るかを考えなければなりません。飛行機で函館入りすることを考えたんですが、ちょうど「新幹線YEARスペシャル」の期間中で、JREポイント6000ポイントで東京~新青森間の新幹線が利用できることに気づきました。さらに、新青森~新函館北斗間は「トクだ値50」を仕込んで、前日に新函館北斗入りしました。結局、東京~新函館北斗間が6000ポイント+3,750円で利用できました。

最後のキハ281系グリーン車

 キハ281系のグリーン車に乗ったことがなかったので、翌朝は嫁を放置して「北斗7号」のグリーン車に長万部まで乗車しました。「北斗」ではキハ261系のグリーン車は1号車ですが、キハ281系のグリーン車は2号車なのできっぷでも区別がつきます。

キハ281系グリーン車車内 2022/9/30

 キハ281系のグリーン車は2-1列配置で、車両の真ん中で1-2列に入れ替わる変わった造りをしています。あいにく山側の1人席しか取れませんでしたが、1時間ちょっとの間広々とした座席を楽しみました。

函館駅で発車を待つ北斗19号 2022/9/30

 それから函館に戻って嫁を回収し、食事と少々の観光をしてから目当ての「北斗19号」で札幌へ向かいました。函館を発車する定期運行最後のキハ281系である「北斗19号」を函館山が入るように撮ってみました。

「28年間ありがとう」の表示:函館駅 2022/9/30

 ホームの発車案内には「キハ281系28年間ありがとう」の表示がされていて、いかに惜しまれてこの日を迎えたかがよく分かりました。札幌までの指定席はこの日の昼時点で空きが4席だったので、直前には満席になっていたと思います。

 列車は何事もなく定刻に札幌に到着しました。最後の停車駅新札幌を発車し、札幌に到着する際の車内放送を録っていました。車掌の思いが詰まっていて、いい車内放送だったなと感じました。

札幌駅の人垣 2022/9/30

 札幌に着いたのは21:36だったので、その頃には仕事や学校を終えたであろう人たちが多く集まっていて大変な混雑になっていました。キハ281系は北海道の鉄道の歴史を変えたと言ってもいいぐらいの車両ですから、これだけの人に見送られるのも分かる気がしました。

解体中のキハ281系:五稜郭車両所 2020/9/30

 キハ281系は定期運行終了後、10月22・23日の特急「スーパー北斗」の運転をもってすべての運行を終了しました。五稜郭車両所の片隅では廃車解体が行われていますが、北海道の歴史に残る車両ですので何両か保存してもらえないものかと感じます。

【補足:2023/4/23】

 五稜郭車両所は2023年3月末で閉所となり、残るキハ281系の廃車解体は苗穂工場や釧路運輸車両所で行われるようです。