ばんえつ物語グリーン車
今春の運転分から快速「SLばんえつ物語」号にグリーン車が設定されることになりました。SL列車にグリーン車が設定されたことは過去に何回かありますが、いずれも単発のイベント列車でした。恒常的に設定されるSL列車のグリーン車としては初と言っていいと思います。「ばんえつ物語」を始発から終点まで乗り通すと乗車時間が3時間を超えるので、ずっとボックス車ではしんどいという声はあったのかもしれません。
発表が今年1月下旬で、運転開始は4月上旬でした。だいたいは運転の1ヶ月前には車両が登場し、何回か試運転が行われます。昨年の運転終了が11月末なので、車両を改造するにしても「正直これだけの期間で改造できるんかいな?」と思っていました。
実際、このグリーン車は3月下旬になっても車両が姿を現しませんでした。結局、製造元の新潟トランシスからJR東日本に引き渡されたのは4月2日で、4日に報道公開および試運転が行われ、6日から運転開始というあまり例のない突貫スケジュールでした。これが当初予定通りだったのか、何かトラブルがあってこうなってしまったのかは知る由もありませんが…。
グリーン車は末端がガラス張りの展望スペースになっていて、普通車とはカラーリングが異なります。7号車に連結されていて、会津若松行では最後尾、新潟行では機関車次位の先頭車になります。
なので、景色を楽しみたい場合は会津若松行で、機関車をじっくり堪能したい場合は新潟行で乗車するといいと思います。この写真は機関車次位の眺めです。なお、客室の窓は開きませんので、「SLの風」を楽しみたい場合は普通車の方がいいです。
座席は1-2列になっていて、A席が1人席です。全般的に阿賀川沿いの景色が楽しめるのはA席です。シートの幅は特急列車の普通車とグリーン車の間ぐらいでしたが、シートピッチは広くてゆったりとしていました。また、座席の背もたれは木製で、九州新幹線の800系を思わせるものでした。
この車両は「ばんえつ物語」で使用されていた12系「スハフ12-102」を種車にしてグリーン車に改造した車両ということでした。グリーン車化に伴い車番は「スロフ12-102」となっています。しかし、外観・内装とも種車の面影がまったくありません。後で調べてわかったことですが、種車は台車部分しか使っておらず、車体は新製したんだそうです。そうであれば運転終了から改造デビューまでの期間が妙に短かったのも納得できます。
ダメ元で「えきねっと」の発売1ヶ月7日前の事前予約開始とほぼ同時に初日の列車のグリーン車を仕込んでみたところ、こうしてあっさり取れてしまいました。1ヶ月前の10時打ちでも取れなかった人もいたようですので、「えきねっと」の事前予約も意外と侮れません。ひょっとしたら全区間にしなかったのがよかったのかもしれません。ただ、初日でグリーン券は売り切れていたと思われるんですが、当日はすべて埋まってはいませんでした。
(配布された記念乗車証)
この列車で驚いたのはグリーン車のデッキには係員がいて、東北新幹線のグランクラス同様にグリーン券を持たない客は立ち入れないようブロックしていました。グリーン車の乗客が車内に立ち入る場合はきっぷか車内改札時に配られたグリーン車用の記念乗車証を呈示します。
(車内の様子)
グリーン車の乗客的には無関係の客が不必要にウロウロされると落ち着かないですし、展望スペースを占拠されてしまっては何のためにグリーン料金を払ったかわかりません。人手はかかっているようですが、このシステムは非常に良いと感じました。
全般的には指定席料金+1000円ちょっとでこれだけ落ち着いた空間が提供されるのであれば悪くはないと思います。展望車も独占です。ただし、グリーン車ですので「青春18きっぷ」での利用はできませんので、この夏に乗車を計画されている方はご注意ください。