続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

時速285Km先行体験列車

時速285Km先行体験列車

◆種別:新幹線

区間:東京→新大阪

 JR東海は今年3月のダイヤ改正から「のぞみ」の一部列車の東海道新幹線での最高速度を時速285Kmに上げました。東海道区間でのスピードアップは平成4年の「のぞみ」運転開始以来初めてです。

 これにより東京~新大阪間の所要時間が3分短縮され、最速列車(1・64・265号)で2時間22分となり、運転開始当初の2時間30分からは8分短縮となりました。8分と言うと大したことないように思えますが、平成4年当時はまだ品川駅はなく、新横浜駅も大半の列車は通過していました。東海道新幹線は昭和39年開業で設備は古く、カーブが多い線形も高速化には不利で、停車駅が2つ増えたのに8分も短縮しているのは何気にすごいことだと思います。

 とは言うものの、この春のダイヤ改正北陸新幹線金沢開業や上野東京ラインの運行開始などの大ネタに隠れ、ほとんど話題になりませんでした。かく言う私も2月4日のJR東海ニュースリリースを見るまではそんな計画があったことすら知りませんでした。

 このニュースリリースは時速285Kmの運転開始前に希望者向けに先行体験列車の試乗会を行い、その試乗会専用のきっぷを発売するというものでした。リンク先を読んでもらえれば分かるかと思いますが、この試乗会はこれまでの「普通の」試乗会と比べて何かと異例づくしでした。

  • 普通は土休日に複数回開催されるが、2月25日(水曜日)の片道1回のみ開催。
  • 普通はネット申し込みが主流だが、専用の申込書に記入し封書で応募。当落連絡用に切手を貼った返信用封筒の同封が必要。
  • 普通は無料だが、乗車前日までにJR東海の窓口で当選通知を呈示し、専用きっぷの購入が必要。

 今まで無料の試乗会は何回か参加しているので、開催側の事務・費用両面のコスト負担が大きそうなのは想像がつきます。この試乗会ではそういったコストの負担を体験希望者に転嫁するという目新しい実施形態でした。

 ネット上で自社の技術革新の成果を有料で見せるこの試乗会のことをジャイアンのリサイタルみたいな試乗会と揶揄されていたのを見ました。全面同意はしませんが、実際にお金を払って参加した私からすると言い得て妙な表現だなと思いました。

 285km先行体験列車のダイヤは以下の通りでした。

 東京           名古屋         新大阪

12:23発  →  14:02着/14:06発  →  14:53着

 これ以外の停車駅はなく、乗車可能区間は東京→名古屋・新大阪か名古屋→新大阪の3通りに限られました。途中で285Kmを出すため一部区間で速度を落として調整しているので、270Kmの定期列車と大差ないダイヤになっています。なお、参加できたのはこの3区間合計で650名でした。

P0266

 私は285km運転よりも専用きっぷの方に興味があったので乗りに行ってきました。5660円という発売額は名古屋~新大阪間の無割引の乗車券+新幹線自由席特急券と同額です。このきっぷは参加者の人数分しか発売されていないので、世に出回っているのは650枚以下のはずです。

285hikikae

 また、このような乗車証明書引換券も同時に発券されました。こんなところまで機械化するとは抜かりないです。これは乗車証明書をもらう際に回収されてしまったので、今は手元にありません。

285taiken (名古屋駅

 先行体験列車に使用されたのはN700AのG19編成という車両でした。この車両は試乗会の3日前にメーカーから納車され、この前日から営業運転で使用されている試乗会当時の最新の編成でした。特に装飾等はなく見た目は何も変わりませんでしたが、新車の匂いに満ちていました。

 名古屋駅入線から新幹線事業本部長の挨拶(2分40秒あたり)、時速285Km出した瞬間の車窓および車内アナウンス(6分以降)を動画にて撮影しました。車内アナウンスは興味深い情報が盛りだくさんでした。岐阜羽島駅は285Kmで通過したんですが、270Kmで通過する際は5.33秒なのに対し、285Kmでは5.05秒なんだそうです。もっとも、車窓を見る限りでは270Kmと285Kmの違いははっきり言って分かりません(汗)。

285kinen

 車内では新幹線鉄道事業本部長から直々に乗車証明書いただきました。肝心のきっぷを持ち帰りたい場合はきっぷを乗車証明書に貼った上で証明のスタンプを押すという妙な条件が付きました。準備がいいことに、乗車証明書には強力な両面テープが付属されていました。私はきっぷをファイルに入れて保存しているので、こういうことはしたくなかったんですが、きっぷを持ち帰れないことには有休取ってまで大阪まで行った意味がないので、やむなく指示どおりに貼りました。

 京都駅には停車したもののドアは開かず、新大阪駅には時刻通りに到着しました。到着後運転士からも挨拶がありました。途中でこまめにスピードを上げたり落としたりする高度で変則的な運転を若そうな女性運転士がやっていたのは驚きでもありました。

 帰ってから気づいたんですが、この証明書の右上に何かカードを入れるようなポケットがありました。「先行体験列車乗車お客様限定オリジナル記念品」とあったので、どこかで何かもらえたのかもしれませんが、私はもらえていません。実際にどうだったのか今さらながら気になっています。