昨日（8月24日）のＪＲ東海・西日本・九州各社のプレスリリースで長らく続いていた「EX予約」のグリーンプログラムを終了することが発表されました。ポイントの加算は今年12月末乗車分まで、消化は来年6月末までの操作分で終了します。代わりに利用区間・料金に応じて各社のポイント（EXポイント・WESTERポイント・JRキューポ）が加算されるそうです。
おさらいですが、グリーンプログラムとは「EX予約」での新幹線乗車区間に応じたポイントが付与され、そのポイントを利用して新幹線のグリーン車に乗車できる仕組み（以下「グリーン特典」と表記）です。
付与されるポイントは概ね距離に比例し、東京～名古屋であれば50ポイント、東京～新大阪や新大阪～博多であれば90ポイント、新大阪～熊本であれば110ポイントという具合です。「のぞみ」でも「ひかり」でも、自由席でもグリーン席でも付与されるポイント数は同じでした。
貯まったポイントに応じて「のぞみ」「みずほ」は1000ポイント、「ひかり」「さくら」であれば800ポイント、「こだま」「つばめ」であれば600ポイントで「EX予約」の普通車指定席と差額なしでグリーン席を利用できます。
「のぞみ」の「グリーン特典」を利用した際の特急券です。券面上に「e特急券（G特典）」と印字されています。7,160円は「EX予約」の新横浜～小倉間のe特急券と同額で、金額内訳のグリーン料金は0円になっています。
9月30日から「EX予約」の商品改定の概要をまとめてみます。
【良くなる（？）点】
- 乗車の1年前から予約可能に
- 早朝深夜のシステム停止時間帯（23:30～5:30）も利用可能に
- 利用区間・料金に応じて各社のポイントが加算
- 「EX旅パック」「EX旅先予約」のサービス開始
【悪くなる点】
- 全体的な割引額の縮小
- シーズン別料金の加算
- 「のぞみ・みずほ」加算料金の上乗せ
- グリーンプログラム終了
予約開始の前倒しは2～3ヶ月で十分です。夜中は寝ているのでシステムが止まってても問題ないです。各社のポイントもEXポイントは区間ごとの設定で、WESTERとJRキューポは利用金額に応じたポイント加算で両社で率も違い非常にわかりにくいです。しかも、WESTERは自由席利用の場合は加算されないという除外条件のおまけ付きです。
殿様商売のJRが新幹線と宿泊を組み合わせたパックツアーを売ったところで「じゃらん」や「楽天トラベル」など大手旅行会社ですら苦戦するWeb系の旅行会社の宿泊先ラインナップを超えられるわけがないです。商品次第で唯一期待できるかもしれないのが「EX旅先予約」ぐらいです。
普通車の価格は最繁忙期の名古屋～博多間の「のぞみ」利用時の2,170円（5,630円→7,800円）が最大の値上がり額です。私が比較的よく利用する新横浜～小倉間は7,160円から8,560円に値上がりし、正規料金からの割引額はわずか630円にまで圧縮されました。乗車券込みだとわずか3%の割引率です。
「EX予約」の初利用が100系のグリーン車だった比較的初期からのユーザーからすると、今回の商品改定は長年の信頼に対し裏切られたという思いでいっぱいです。どうでもいいことが良くなって、サービスの根幹となる部分が悪くなっていてアンバランスさが際立ちます。
グリーンプログラムは東京～新大阪間を6往復すると「のぞみ」1回分のグリーン特典が利用できます。ビジネス客に対してそれを売り文句に展開していて、実際にそれが好評でした。
「S Work席」や駅・車内でのワークスペースの設置などビジネス客向けに移動中や新幹線乗車前後に仕事しやすい環境を整備する一方で、ビジネス客にも好評だったグリーンプログラムを止め料金体系も複雑化されるとなると、コロナ禍が明けてもなかなか利用が戻らないビジネス客を重視しているのか軽視しているのかよく分かりません。
かと言って個人客を重視し、個人客にとって魅力的な商品に仕上がったかと言うと全然そんな印象はありません。年会費1,100円を払い、数％のセコい割引率のきっぷを買って、JR各社の自社関連でしか使えないビミョーなポイントを貯めたければ止めはしませんが、それだったら年会費無料で200円引きの「スマートEX」に移行するか、ケチ臭い割引に縛られるのはやめて自分が普段貯めているポイントやマイレージが得られるクレジットカードで普通にきっぷを買った方がいいと思います。
とりあえず、とことん悪くなった「EX予約」に年会費を払ってまで今から新規入会する価値はまったくありません。「EX予約」にしか使っていないクレジットカードがあれば解約するなり、期限切れのタイミングで更改しないという選択肢も大いにアリです。
私は現在「EX予約」を「J-WESTカード（エクスプレス）」で利用しています。J-WESTカードの会員専用のきっぷは重宝しているので「J-WESTカード」を止めるつもりはありません。「EX予約」機能のない「J-WESTカード（ベーシック）」にするとカード番号が変わってしまいそうでそれはそれでいろいろ面倒くさいです。なので文句はタレつつ当面は現状維持です。
ただし、裏切られたという思いが強いので10月からの「EX予約」は「早特」ときっぷ収集目的を除きほぼ利用しなくなると思います。がっつり値上げされグリーンプログラムすらなくなる「EX予約」に利用する価値は何も見出せません。
5月に発表済みだった商品改定の内容はこちら↓
