続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

えちごトキめき鉄道値上げ・乗継割引廃止へ

 来月からえちごトキめき鉄道で平均18%の運賃値上げが実施されることになりました。値上げの発表自体は2月にありましたが、9月1日に北陸信越運輸局より正式に認可が下りたそうです。

日本海ひすいラインの気動車:糸魚川駅 2021/3/6

 理由としては沿線人口の想定以上の減少と設備の維持補修に必要な資材費や人件費のコストが上昇していること、今後変電所などの老朽施設の更新に充てていくための費用が必要としています。

妙高はねうまラインの電車:春日山駅 2025/3/15

 初乗り運賃は190円から220円に上がり、主な区間の運賃は以下の通りになります。黒字が値上げ前で紫色が値上げ後の価格です。

直江津  
高田 330円
280円
高田  
上越妙高 400円
340円
300円
250円
上越妙高  
新井 510円
430円
330円
280円
330円
280円
新井  
妙高高原 1,070円
900円
920円
790円
790円
670円
650円
550円
妙高高原  
糸魚川 1,070円
900円
1,350円
1,140円
1,350円
1,140円
1,540円
1,310円
2,100円
1,780円
糸魚川
JR犀潟 200円 530円
450円
600円
530円
710円
630円
1,270円
1,100円
1,270円
1,100円
JR柏崎 680円 1,010円
960円
1,080円
1,020円
1,190円
1,110円
1,750円
1,580円
1,750円
1,580円
JR長岡 1,340円 1,670円
1,620円
1,740円
1,680円
1,850円
1,770円
2,410円
2,240円
2,410円
2,240円

 後で触れますが、上の表の黄色く網掛けした部分は乗継割引適用区間です。犀潟~高田間で30円、犀潟~上越妙高間では10円の乗継割引が適用されています。今回の値上げのタイミングでこの部分がそっくりなくなるので、犀潟~高田間は80円、犀潟~上越妙高間では70円の値上げとなり距離の割に値上げ額が大きくなります。

 現在、えちごトキめき鉄道は以下の会社線との乗継割引があります。このうちあいの風とやま鉄道とは両社で乗継割引を設定しており、それ以外はえちごトキめき鉄道側の片割引です。

トキ鉄対象駅 接続駅 他社線 他社線対象駅
上越妙高~春日山 直江津 JR東日本 黒井~潟町
有間川・谷浜
えちご押上ひすい海岸~能生 糸魚川 JR西日本 小滝~姫川
親不知・青海
関山 妙高高原 しなの鉄道 長野~黒姫
親不知~糸魚川 市振 あいの風とやま鉄道 泊・越中宮崎
上越妙高~春日山 直江津・犀潟 北越急行 六日町~くびき
有間川・谷浜

 来月の運賃値上げのタイミングでえちごトキめき鉄道の乗継割引は通学定期を除き廃止となります。あいの風とやま鉄道側で設定されている市振接続の乗継割引は残る模様です。

乗継割引適用なし

乗継割引適用

 すべて潟町発着の乗車券ですが、上は新井発なので乗継割引適用外で下2枚は春日山発着なので適用されています。乗継割引が適用されると小さく「割引」と印字され、金額ではなく着駅が表示されるのが面白いところです。直江津接続の乗継割引が廃止されるとこの印字もなくなるものと思われます。

2,140円→2,190円

 また、特急「しらゆき」利用時に適用される50Kmまでの自由席特急料金は280円から330円に、入場券は190円から200円になります。


 さらにえちごトキめき鉄道が他の転換三セクと比べて特に不利だと思うのは、

①県庁所在地を通っていないのでもともと利用客が少ない

 並行在来線で第三セクター化された元JRの路線のうち、県庁所在地まで路線が繋がっていないのはえちごトキめき鉄道以外に道南いさりび鉄道や肥薩おれんじ鉄道があります。

②直流と交流の両方の電化方式が存在する

 旧信越線の妙高はねうまラインの全線(妙高高原~直江津)と旧北陸線の日本海ひすいラインの梶屋敷~直江津間が直流電化、市振~梶屋敷間が交流電化です。交直流電車は高価なため日本海ひすいラインでは気動車が運行されています。

③貨物列車のために電化設備を維持しないといけない

 日本海ひすいラインは貨物列車が多数走る日本海縦貫線の一部であり、えちごトキめき鉄道の都合で自社区間だけ非電化にするわけにはいきません。

 こういったことから、えちごトキめき鉄道は同時に開業したあいの風とやま鉄道・IRいしかわ鉄道と比べて厳しい業績になることは当初から指摘されていました。もともとそんな環境に加えて昨今の人件費や資材費の高騰や設備更新が重なると値上げに対して物申すことができない雰囲気すらあります。