昨年2月にJR九州に以下のような妙なタイトルのプレスリリースが出ました。
簡単購入!有効期間たっぷり!
「券売機だけ買える!九州新幹線2枚きっぷ」
を発売します!
「九州新幹線2枚きっぷ」は2011年の九州新幹線全線開業時から発売されていた2枚綴りで自由席タイプの新幹線回数券ですが、コロナ禍による割引きっぷの削減で2021年3月末で発売終了していました。てっきりそれが2年ぶりに復活するのかと思いました。
プレスリリースには「みどりの窓口にお立ち寄りいただくことなく、券売機で簡単にきっぷをお買い求めいただけますので、急なお出かけの際などにぜひご利用ください」という記載があり、券売機で買えることを強調しています。逆にみどりの窓口では買えません。
設定区間・価格は以下の通りです。博多もしくは福岡市内発着しか設定がなくこれが全てです。有効期間は1ヶ月です。
券売機だけ買える 九州新幹線2枚きっぷ |
運賃+自由席特急料金 (片道) |
割引額 | |
---|---|---|---|
博多~新鳥栖 | 2,880円 | 1,440円 | 0円 |
博多~久留米 | 3,260円 | 1,630円 | 0円 |
博多~筑後船小屋 | 4,780円 | 2,390円 | 0円 |
博多~新大牟田 | 6,140円 | 3,070円 | 0円 |
博多~新玉名 | 7,220円 | 3,610円 | 0円 |
博多~熊本 | 9,400円 | 4,700円 | 0円 |
博多~新八代 | 10,780円 | 5,390円 | 0円 |
博多~新水俣 | 13,960円 | 6,980円 | 0円 |
福岡市内~出水 | 15,880円 | 7,940円 | 0円 |
福岡市内~川内 | 17,420円 | 8,710円 | 0円 |
福岡市内~鹿児島中央 | 20,220円 | 10,110円 | 0円 |
2枚同時に買わされる割に1円も安くなっていません。かつて販売されていた「九州新幹線2枚きっぷ」は割引があったので完全に似て非なるものでした。正直なんじゃこりゃ??と思いました。
博多駅のみどりの窓口や券売機が大混雑して長蛇の列ができるのは今や繁忙期の風物詩となりつつあります。九州新幹線だけを利用する客がみどりの窓口に並ぶのを減らすためにこのきっぷを発売しているようですが、券売機できっぷを買うために客が並ぶということは変わりません。
駅で利用客を並ばせないようにするには窓口や券売機を増やすかチケットレスを推進するかの二択です。前者は今のJR九州の施策に完全に逆行するので、やるとしたら後者です。
今年秋からようやく九州ネット予約でのチケットレス乗車を始めるようですが、こういうわけのわからないきっぷを出して仕事してるフリをするヒマがあったら、2022年6月から九州新幹線に導入しチケットレス乗車ができる「EXサービス」の普及に全力を尽くすべきです。今のJR九州がやることは利用客への視点が完全に欠落しているように感じます。
11月に嫁と筑後市にあるタマスタ筑後に行く際に博多から筑後船小屋まで九州新幹線を利用しました。普通に2人分の乗車券+自由席特急券を買うつもりでしたが、直前になってふとこのきっぷの存在を思い出したので買ってみました。指定席券売機で買う手間は乗車券+自由席特急券を買うのと大差ないように感じました。近距離券売機ではまた違ったんでしょうが。
ふと感じたんですが「券売機だけ買える」という日本語はおかしいと思います。(窓口ではなく)券売機で買えることを強調したければ「券売機で買える」でしょうし、券売機でしか買えないことを強調したければ「券売機だけで買える」が正しいと思います。券売機できっぷを買うわけであって券売機を買うわけではないのです。
ひとこと
全体的な感想は上で書いた通りです。「九州新幹線2枚きっぷ」では差額料金券の購入で指定席やグリーン席に上位変更できたんですがこのきっぷではできません。とにかく急いできっぷを買って自由席に飛び乗りたい人向けです。それ以外は利用客にとって何のメリットもありません。よくこんな客をナメたきっぷ出したなというのが正直な感想です。
使い勝手:★☆☆☆☆
お得感:皆無(★なし)
当日発売:あり
小児用:あり