JR最高駅+
JRで一番高いところにある駅は小海線・野辺山駅です。海抜1345.67mにあります。駅でない最高地点は清里~野辺山間にあります。
その野辺山駅はJR東日本長野支社に属しているせいか、絵柄入りの無効印があります。駅舎をデザインした図柄に「ご利用ありがとうございました 使用済JR野辺山駅」とあります。図柄の上には「JR最高駅 野辺山」とさりげなく主張しています。
個人的には野辺山駅には思い出があります。昭和62年3月31日。この日は国鉄最後の日でした。同級生と3人で国鉄全線がフリーになる「謝恩フリーきっぷ」を手に子供だけで旅行していました。親からは遠くへ行くのは今回特別に許すが、危ないから東北とか九州とかあまり遠くまで行ってはダメという注文が付きました。
野辺山が国鉄最高地点であることは知っていた上に、ちょうど社会科の授業で野辺山原の冷涼な気候を利用して高原野菜を栽培しているというようなことを習ったので、名古屋からさほど遠くないしとりあえず行ってみようということになりました。
その当時の小海線にどういった車両が走っていたのか詳しく覚えていませんが、キハ52系っぽいボロだった気がします。野辺山の気温は2℃で、駅から最高地点までずいぶん遠く感じました。もう時効だと思いますが、若い車掌に頼み込んで途中駅発車時に笛を吹かせてもらったり、しばらく列車が来ない線路の上を歩いた覚えもあります。都会では2時間も列車が来ないなんて有り得ないことでした。
小海線を小諸まで抜け、在来線特急時代の「あさま」で今は亡き碓氷峠を越えて、横川駅の立ち売りで「峠の釜めし」を買い込み、名古屋では見られない緑色の新幹線やまだ新しかった埼京線に乗りました。そして、溢れる人垣を掻き分け東京駅から何とかいつもの青い新幹線になだれ込みました。この時同級生の一人がもみくちゃにされて、メガネをホームに落としてしまうというアクシデントもありました。今まで最終日や最終列車の駅でのフィーバー振りは何度も見ていますが、あの時を凌ぐものはありません。結局、名古屋に着いたのは日付が変わる直前で、家でニュースを点けたら3時間前までいた東京駅の光景が映っていました。
野辺山に来るとその時のことを思い出します。駅舎は当時と同じだったと思います。駅前には何もなかったと記憶していますが、バブル期を経て「俗っぽく」なりました。あと、オンボロ気動車に車掌が乗務していた小海線は今や世界初のハイブリッド気動車が走り、ほぼワンマン化されています。21年も経てばずいぶん変わるものです…。