続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

ひだか優駿号限定札幌片道きっぷ

 昨年7月に道南バスとJR北海道の連名で「浦河~新千歳空港間直通バスを運行します」というプレスリリースを出しました。一見、競合関係にある両社が連名で何事だろうか?と興味を惹かれて読んでみました。要約すると以下のとおりです。

  • 8月1日より浦河~新千歳空港間で直通バス「特急ひだか優駿号」を1日1往復運行。
  • それまで運行されていた苫小牧駅前経由で浦河~新千歳空港間を大回りで結んでいた「特急うらかわ号」は7月31日で廃止。
  • 「ひだか優駿号」は往復とも浦河でえりも・様似方面と、富川で日高・平取方面と、ウトナイ湖で苫小牧前駅方面のバスと接続。
  • 新千歳空港行きの「ひだか優駿号」の乗客に対し、JR南千歳~札幌市内各駅への「ひだか優駿号限定札幌片道きっぷ」を南千歳駅限定で500円で発売。

 もちろん、きっぷヲタとしては一番下が本題です。北海道に限らず、JRがグループ外のバス会社<しかも区間によっては競合関係にある会社>と連携してトクトクきっぷを企画するのは非常に珍しいと思ったからです。

 このきっぷを収集するために、日高線存続区間(苫小牧~鵡川間)の乗車も兼ねて「ひだか優駿号」に乗ってきました。鵡川駅から10分程度歩いたところに道の駅「鵡川四季の館」があり、傍らに同名の停留所があります。

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ひだか優駿号:南千歳駅北口 2018/12/15

 「ひだか優駿号」はこんな感じの観光バスタイプのバスでした。予約不要で乗れますが、満席の場合は乗れないことがあります。 浦河発が早朝で、新千歳空港発が夕方です。「鵡川四季の館前」を数分前に出た札幌市内直通の「ペガサス号」というバスは補助席までいっぱいでしたが、「ひだか優駿号」は窓側が全部埋まる程度の混み具合でした。

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ひだか優駿号乗車証明書

 鵡川から日高自動車道という無料(!)の高速道路を快走し、45分ほどで南千歳駅北口に到着しました。運賃支払い時に運転手から「札幌片道きっぷ」の購入に必要な乗車証明書を貰います。 右上に通番が入っていて、ちゃんと枚数管理しているようです。「12-0005」というのは12月で5枚目ということなんですかね?同じ便で私の他に3人南千歳駅北口で降りましたが、乗車証明書を貰っていたのは私だけでした。

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 南千歳駅で購入した現物です。このときに先ほどの乗車証明書は回収されます。南千歳駅限定で、1日1本の特定の路線バスの利用客にしか発売しないきっぷなので、多少常備券を期待しましたが、あいにく普通のマルス券でした。

 南千歳駅から一番近い札幌市内の駅は千歳線・上野幌駅で、運賃は640円です。なので、札幌市内の駅に行くのであれば確実に割安になります。一番遠い札沼線・あいの里公園駅までは1,270円です。特急列車については特急券を買い足しても乗れないそうです。


 このきっぷの設定趣旨を考えてみました。まず最初に浮かんだのは「ペガサス号」の混雑緩和で、JRが割安になるきっぷを設定して札幌市内のJR駅周辺が最終目的地の客を「ひだか優駿号」で吸収できないかというものです。

 「ペガサス号」の鵡川四季の館前~札幌駅前の運賃は1,730円ですが、南千歳でJR乗り換えの「ひだか優駿号」だと1,650円と申し訳程度に安いです。他の停留所も同様に申し訳程度に安くなっています。

 そしてもう一つ思ったのが、鵡川から先の日高線末端区間のバス転換を見越し、JRと当地の有力バス会社である道南バスと連携して、日高線沿線と札幌方面との利便性確保のため分担してできることはないかを模索しているようにも見えました。このきっぷとは逆に札幌近郊の駅で南千歳までのJR券と「ひだか優駿号」のセットのきっぷを発売するというのもアリだと思います。

 浦河町のちゃぶ台返しによりまとまりかけていたバス転換協議が混沌としてきた感はありますが、浦河町が頑なに要求する全線復旧だけはさすがに非現実的なので、あながちない話ではないと思っています。

 このきっぷは今のところ今月(2019年3月)末で終了の予定です。

【補足:2023/7/21】

 「ひだか優駿号」は2021年4月に道南バスからジェイアール北海道バスに引き継がれたのち、2022年3月27日で廃止になりました。