現美新幹線
◆種別:新幹線
◆区間:越後湯沢~新潟
「現美新幹線」は「走る現代美術館」的なコンセプトの観光列車で、平成28(2016)年4月に登場しました。新幹線規格の観光列車は「とれいゆつばさ」に次ぐもので、フル規格区間を走る新幹線に限れば初です。
もともとは秋田新幹線を走っていたE3系で、E6系投入に伴って余剰となった車両を改造しました。6両編成ですが号車番号の振り方は秋田時代を踏襲して11号車~16号車になっています。そのうち、11号車のみ指定席で、その他の車両は展示スペースも兼ねた自由席です。12~16号車は自由席特急券で乗車できます。
外観は秋田新幹線のイメージは完全に消え去り、黒を基調としたラッピングに蜷川実花デザインの長岡の花火が描かれています。内装は11号車は座席が残されていますが、12~16号車は座席が撤去され展示スペースとソファーが並んでいて、新幹線の車内とは思えない異次元空間が広がっています。
ネタバレになると面白くないので、私が一番気に入っている15号車の写真だけ載せます。左の展示物は列車の揺れでゆらゆらと揺れるように考慮されています。各号車ごとに作家やテーマが異なっていて、それぞれ趣向が凝らされていて違った楽しみ方ができます。
こちらは11号車の指定席のきっぷです。「現美新幹線」と案内されていますが、列車名は「現美新幹線とき」と印字されています。駅の列車案内には「現美新幹線」とは表示されず、「とき454号」とだけ表示されていて、利用客からすると分かりにくさは感じます。
車内の展示を見るならば指定は取っても取らないでもいいと思います。と、言うのは1時間弱の乗車時間の間に全部見ようとするならば、一か所に座っているヒマはないからです。荷物置き場を確保するぐらいに考えておいた方がいいかもしれません。13号車にはカフェがあり、コーヒーやアルコール、新潟のスイーツなんかも取り揃えているので、美術館ではできない飲食しながらのアート鑑賞ができたりします。
私は運転開始3日目に初めて乗車しています。こういう列車の初期段階は一般客よりも鉄ヲタが目立つものですが、この列車については鉄道とは縁遠そうな雰囲気の人やそれほど興味を持っていなかった感じの人が多く見受けられ、新たな客層を開拓する可能性を感じました。昨年3月にはアート作品を一部入れ替え、飽きられないような工夫もされています。
高速で移動しながらアート作品を楽しむという相容れないものが交錯する非日常感が楽しいと感じました。現美新幹線は主に土休日に1日3往復運転され、自由席もあるので、乗るチャンスは多いです。ただし、盆暮れの超繁忙期には運転されないので注意が必要です。
【補足:2021/6/29】
現美新幹線は2020年12月で運転終了したのでカテゴリーを追加しています。