先の年末年始にJR東海の特急「しなの」・「ひだ」・「南紀」が全車指定席で運転されました。普段は「しなの」に2両、「ひだ」に1~2両、「南紀」に1両の自由席が設定されています。

9月に発表されたプレスリリースには『ご提供する普通車指定席が増え、より多くのお客様に安心してご予約・着席してご旅行いただけるようになります』とありました。さも利用客のことを考えて実施します的な表現をするのがいやらしいなと感じました。
全車指定席化されている期間中は自由席特急券は発売せず、満席時は立席特急券を発売します。立席特急券とは全車指定席の列車が満席になった際に号車を指定して枚数限定で発売される特急券です。発売額は自由席特急券と同額ですが、その名の通り車内で空席が発生しても着席はできず、着席する場合は指定料金の支払いが必要になります。
「南紀」では8月の熊野大花火大会の際に運転される全車指定席の臨時列車で満席時に立席特急券が発売された事例があります。しかし、「しなの」と「ひだ」で立席特急券が発売されるのは初めてではないかと思われます。

「ひだ」の立席特急券です。特定特急料金の区間のため券名が「特定特急券(立席)」となっていて、号車だけが指定されています。立席特急券に特徴的な「立席特急券では着席できません」という文言が印字されています。

この立席特急券は乗車当日に美濃太田駅の窓口で購入していますが、指定席券売機では乗車前日から普通車指定席が満席の場合に購入できます。画面には「立席」のボタンが表示されます。逆に「えきねっと」やe5489では購入できないので注意が必要です。
JR東海は2026年度の最繁忙期にも「のぞみ」と同様に「しなの」・「ひだ」・「南紀」の全車指定席化を実施することを発表しました。「のぞみ」は2023~2024年の年末年始から最繁忙期は全車指定席化されています。「のぞみ」はグリーン車を含めて16両編成あり、最繁忙期は1時間に最大12本運転して旺盛な需要に備えることができています。
片や「しなの」はともかく、「ひだ」や「南紀」はキハ85系からHC85系に置き換えた際に車両数を80両から68両に減らしたため、増発や増結する余力はあまりありません。「南紀」なんて正月輸送ですら3両の列車があったぐらいです。十分な席数を供給できていない中で全車指定席化だけ実施するのは賛成できません。