続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

信州ワイド周遊券

信州ワイド周遊券

 先日、長野の高校生と話をしているときに、私がかつて「信州ワイド周遊券」を使って旅行した昔話をしました。しかし、彼は周遊券を知らなかったようで、ピンときていませんでした。周遊券は平成10年3月末で発売終了し、もう17年経ちます。なので、高校生が知らないでも無理はないです。と同時に、周遊券を知らない世代がもう高校生になっていたのが軽い驚きでもありました。

 私がこのブログを始めたのが平成17年9月で、その当時でも発売終了から既に7年も経っていたので、周遊券はあえて取り上げませんでした。しかし、いい機会なので短期集中で取り上げてみます。30代後半以上には懐かしく、それより下の世代には新鮮かつ羨ましさを感じるかもしれません。

 私が知る限りでは周遊券は以下の6種類です。昔はもっと種類があったのかもしれません。

  • ワイド周遊券
  • ミニ周遊券
  • ニューワイド周遊券
  • 一般周遊券
  • グリーン周遊券
  • ルート周遊券

 最初に「ワイド周遊券」を取り上げます。「ワイド周遊券」は特定の出発地から周遊エリアへのJR線の往復と周遊エリア内のJR線およびJR系列のバス路線がフリーになったきっぷでした。共通するルールはおおよそ以下の通りでした。

  1. 周遊エリアへの往復は出発地ごとに経由が何通りかで決められている。
  2. 周遊エリアとの往復は急行列車の自由席が利用可。
  3. 周遊エリア内は特急・急行列車の自由席が利用可。
  4. 有効日数は7~20日間。
  5. 学割は定価の大人の約3割引。

 今でこそ急行列車は絶滅しかかっていますが、私が利用していた頃は夜行列車を中心にまだ急行列車が残っていたので、2は結構ありがたいものでした。また、普通乗車券では2割引の学割が周遊券では3割引になる5もかなり魅力でした。

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 マルス券のワイド周遊券はこのような120mm券でした。出発駅から周遊エリア内最初の下車駅までの往路のA券と周遊エリア+復路のB券のセットになっています。マルス券だけではなく常備券やL型マルス券もありました。

 画像の「信州ワイド周遊券」は以下のエリアがフリーになった周遊券でした。  

【周遊エリア】

  • 信越線:軽井沢~妙高高原
  • 中央東線:小淵沢~塩尻、岡谷~辰野~塩尻
  • 中央西線:中津川~塩尻
  • 篠ノ井線:塩尻~篠ノ井(全線)
  • 小海線:小淵沢~小諸(全線)
  • 飯田線:中井侍~辰野
  • 大糸線:松本~北小谷
  • 飯山線:豊野~森宮野原
  • 長野県内のJRバス関東の路線

 会社を問わず長野県内のほとんどのJR線が網羅されています。今どきのトクトクきっぷみたいに会社ごとに分断されていないのが国鉄時代からの名残を感じさせます。今ではしなの鉄道に転換された区間もあります。

 名古屋市内発の周遊エリアへのアプローチは以下の4通りの経路から選べました。

  • 中央西線(入口駅:中津川)
  • 東海道線・飯田線(入口駅:中井侍)
  • 東海道線・高山線・北陸線・大糸線(入口駅:北小谷)
  • 東海道線・高山線・北陸線・信越線(入口駅:妙高高原)

 なんと名古屋から長野へ行くのに富山周りもできました。経由が往復で異なってもOKで、経路の途中での途中下車もできました(名古屋市内各駅は除く)。名古屋市内発だと周遊エリアまで近かったため、有効日数は7日間でした。周遊券や出発地によっては高速バスやフェリーが使えたものもありました。

 私はこの周遊券を使って野沢温泉へスキーに行きました。名古屋0時過ぎ発の急行「ちくま」の自由席に乗り、12系客車の中で一晩を過ごし、退屈になったらガラガラの寝台車に潜り込んで3段式寝台の寝心地を試したりしました。5時過ぎに着いた長野駅でレインボーカラーの飯山線に乗り換え、戸狩野沢温泉からボロボロの長電バスに乗って野沢温泉スキー場に行きました。そして、夕方まで目一杯滑って元来たルートを戻り、長野駅で最終の特急「しなの32号」の自由席に並んで名古屋へ帰りました。長野オリンピックを控え、善光寺を模した長野駅の駅舎は取り壊されてプレハブの仮駅舎で、「しなの」はまだ381系でした。

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 この時はほぼ日帰りで大して乗り回してはいないですが、「信州ワイド周遊券」+周遊エリアからはみ出すこの自由席特急券だけで済みました。戸狩野沢温泉駅には今でこそマルス端末が入っていますが、この当時はPOS端末でした。

 当然、周遊エリア内を何日も乗り回す場合は割安感がより大きくなります。北海道全域がフリーエリアになった「北海道ワイド周遊券」は出発地によっては20日間有効でしたので、私より少し上の世代の人は周遊券をフル活用し、夜行急行列車を宿代わりにして格安旅行を楽しんでいたようです。なんとも羨ましい時代でもありました。