宗谷線・名寄高校駅は今年3月のダイヤ改正で開業しました。東風連駅の移転・改称という形態ですが実質的に新駅です。
東風連駅の利用者のほとんどが約1.5Km離れた名寄高校の生徒でした。名寄市が名寄高校の生徒に駅が学校の近くにできたらJRを利用する意向があるかアンケートを取ったところ、冬季だけでも利用したいという回答が50人以上あり利用者増が見込めたため、JR北海道に名寄高校の近くへの移設を要望していたものです。
両者協議の結果、名寄市が費用を負担して東風連駅を1.6km稚内寄りの名寄高校のそばに移転し、駅名を名寄高校駅とすることでまとまりました。JR北海道としても市の負担で駅が移設され、駅の利用者が増えるのであれば断る理由はなかったのでしょう。
高校や大学のすぐ近くにあって「~前」が付かない駅は珍しいと思いましたが、北海道には既にあいの里教育大駅や北海道医療大学駅があるので、「名寄高校前」としなかったのは自然な流れなのかもしれません。
開業翌日の名寄高校駅の様子です。片側ホームのシンプルな無人駅です。駅名標の左奥の建物が名寄高校の校舎です。これだけ近ければかなり便利だと思います。
駅の入口には名寄高校駅の愛称である「Nステ」という大きな看板が立っていました。名寄高校の生徒が考案したそうです。奥には交流施設になるであろう待合室があります。自分の高校のためにできた駅と思えば愛着も沸くでしょうね。
東風連駅は普通列車でも通過する列車があったため1日わずか上下8本の停車でしたが、名寄高校駅は特急列車以外はすべて停車するため上下24本と停車本数が3倍増になり、利便性が大幅向上しています。
また、来年度には同じ名寄市内にある名寄高校と名寄産業高校が統合され、名寄高校の校舎を利用した新設校が開校する予定で、それに伴ってクラス数が増えるのでさらに利用客の増加が見込めそうです。
JRの地方ローカル線の支援を巡っては沿線自治体が赤字の補填としての直接的な費用負担するしないが議論されていますが、名寄市は利用者が増え赤字を減らすことが見込まれる施策に対して投資をすることで支援しています。
きっぷ趣味的な話としては名寄高校駅の移設・改称を記念して3月12日から名寄駅で記念乗車券が1000枚限定で発売されました。
「ご当地入場券」と同じこんな感じの短冊タイプの乗車券です。名寄高校の校舎の写真で記念乗車券っぽくないです。記念乗車券というと有効日数は1ヶ月とか半年とかある程度長く設定されるのが一般的ですが、このきっぷは発売当日限り有効でした。
名寄という道北の必ずしも便利ではないところで、1000枚も発売するのであれば開業翌日に行っても余裕で買えるのではないかと見ていたんですが、実際は開業日の「サロベツ1号」で到着した客がギリギリだったそうで、15時前には売り切れたそうです。30枚買っていた人がいたなんて目撃情報もあったので転売ヤーもいたんでしょうけど。
名寄駅では名寄高校着の英語表記の乗車券を買ってみました。高校を英訳して"NAYORO HIGHSCHOOL"にでもなるかと思ったら、表音どおり駅名標と同じく"NAYOROKOKO"でした。なぜ"HIGHSCHOOL"にしなかったのは謎ですが、外国人の利用客はいないと見込んで影響なしと判断したのかもしれません。