続・吾輩はヲタである

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九州管内普通回数券発売終了

九州管内普通回数券発売終了

 JR九州は4月20日のプレスリリースで、九州管内で完結する普通回数券を6月末(下関発着のみ9月末)で発売終了することを発表しました。JR西日本に跨る区間や学割・障害者割引は引き続き発売します。

 JR西日本がICOCAエリアにおける普通回数券の発売終了を発表したのが3月31日で、1ヶ月もしないうちにJR九州が追随した形になります。6月末の発売終了を4月下旬に告知するのは正直遅いと思います。

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普通回数券発売終了の掲示:博多駅 2021/4/28

 周知の遅さ以外に今回のJR九州の普通回数券発売終了のやり方が悪辣だと思うのは以下の2点についてです。

  • 普通回数券を発売終了した京阪電鉄・JR西日本はいずれもICカード利用エリアを対象としているが、JR九州は管内全域で発売終了する点。
  • 先述の2社では回数券より率は落ちるもののポイントサービスでの利用回数に応じた還元があるが、逆にJR九州ではSUGOCA利用で運賃の1%相当の「JRキューポ」を還元するサービスも廃止する点。

 新型コロナの影響で仕方がない部分はありますが、管内全域は明らかにやり過ぎです。回数利用の客の優遇を止め、ICカードの利用促進もしないのであれば、もう乗らないで欲しいんですかね?どこに向かっているのか謎です。

 JR九州がこうした利用者軽視に走るようになったのは、2016年10月の上場が契機だと思います。市場に株式を上場するということは国の監視下から外れて経営の自由度が高まる代わりに、株主からの利益の圧力に晒されます。

 確かに連結では黒字が出せる会社になりましたが、駅ナカや不動産開発で上げた利益で鉄道事業の赤字を埋めるという構図は変わっていません。利益を上げるには鉄道事業の赤字を減らすことは避けて通れません。

 しかし、列車の減便にしろ駅の無人化にしろ、経営の自由度をはき違えてこれまで日々利用していた利用客や支えられていた地域のことを一顧だにせず、赤字減らしを錦の御旗に物事を拙速かつ強引に進めすぎです。

 3年前にやろうとしていた大分市内の駅無人化だって、半年前には新聞報道で明らかになっていたものの地元向けの説明会を行ったのは3ヶ月前で、案の定猛反発食らった挙句にいったん棚上げせざるを得なくなり、その間に障害者団体から訴訟まで起こされて完全に膠着状態です。今回の普通回数券発売終了もその拙速さと傲岸さの一端が現れたと感じます。

 上場してからよくよく振り返ってみると、鉄道事業については利用者にとって何かいいことあったかな?と思います。JR九州の上場を待ち望んでいた人がどれだけいたかは分かりかねますが、こんなことならしない方がよかったと思う人は私も含めソコソコいると思います。

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 手持ちでJR九州完結の普通回数券を探してみたところ、ミニ回数券(2016年1月末発売終了)ならいっぱいあったんですが、普通回数券はほとんどありませんでした。一番新しいものはこれでした。マルス端末のE-POS機能で発券したもので、マルス券の様式とは大きく異なります。これはこれで面白いものだったんですけどね。 


 ちょっと意地悪ですが、ここで新型コロナ禍(2020年3月以降)でのJR各社の利用客に対する不利益変更をまとめてみました。〇印が既に実施されたものです。定期列車の減便については緊急事態宣言下での一時的なものは除外し、長期間実施されているものを対象としています。

  西
定期列車(新幹線・特急)の減便
有人窓口削減・営業時間短縮
トクトクきっぷの整理・縮小
ネット予約の改悪
普通回数券の発売終了

ICOCAエリアにおいて2021年10月実施予定)

 北海道と四国はまだ国の監視下にあるので、あからさまな不利益変更には走れないのかもしれません。上場四社のうち、定期列車の減便までは踏み込んでいない東日本と東海はまだ余力があるように見えますが、西日本と九州はかなり追い詰められているように見えます。特に九州はフルコース満載です。

 JR九州は収益源の新幹線・特急列車が高速バスとの熾烈な競争関係にあります。こういう不利益変更の限りを尽くした挙句に利用客が一度他の交通機関に流れてしまったら、新型コロナ禍が終息しても戻ってこないような気がします。値上げしても減便しても以前と同様に利用してもらえると思っていたら甘いです。