飯田線・牛久保駅が先のダイヤ改正で無人化され、「サポートサービス」による遠隔管理に移行しました。飯田線の駅での「サポートサービス」の導入は初めてです。それまでは「きっぷうりば」(≒みどりの窓口)がある業務委託駅でした。
「サポートサービス」とは以前「集中旅客サービスシステム」と称していたもので、武豊線や東海道線・岡崎~豊橋間で導入されているシステムと同じものです。
ちなみに牛久保駅については昨年9月6日付の中日新聞の記事で老朽化のため駅舎を解体するというニュースが出ていました。最近の傾向として駅舎の改築と営業体制の合理化(無人化や有人窓口閉鎖)をセットで行うことがよくあり、何となく駅舎の解体に合わせて無人化しそうな予感はしていました。
牛久保駅は1897(明治30)年に飯田線の前身の豊川鉄道の駅として開業しました。1939(昭和14)年に近くに海軍向けの機銃や弾丸などを製造する「豊川海軍工廠」という軍需工場ができ、その最寄り駅として賑わったそうです。
その後1943(昭和18)年に現在の駅舎に建て替えられています。大きな三角屋根にタイル張り車寄せがあり、戦時下の資材不足の中このような立派な駅舎が建てられたのは異例のことだと思います。豊川が軍需工場の街だった生き証人として歴史的価値もありそうな気がしますが、豊川市はJRの決定事項には口を挟まないスタンスなので、駅舎の保存や無人化回避と言う話は出なかったのでしょう。
新しい「駅舎」らしき建物は既存の駅舎とホームとの狭いスペースに建てられています。上の写真でオレンジ色で囲った部分で、駅舎というよりは風防です。老朽化という理由もあったんでしょうが、税金対策で減築したという側面もあろうかと思います。
無人化に伴って「きっぷうりば」はなくなりました。風防にはインターホンの付いた近距離券売機が設置されていますが、指定席券売機の設置はありません。隣の豊川駅までわずか2.3Kmなのでなくても影響は少ないという判断だったのでしょう。
JR東海が今年1月に発表したプレスリリースによると、来年2月をめどに名古屋~米原間の業務委託駅を遠隔管理化していくようです。JR東海は東海道新幹線を抱え比較的余裕がある経営状態だったので他社と比べると駅業務の合理化が遅れていましたが、コロナ禍による業績の落ち込みもありいよいよ本格化しそうな感です。